アトピー性皮膚炎

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「アレルギー疾患発症予防に関するエビデンス」

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「アレルギー疾患発症予防に関するエビデンス」

国立医療センター アレルギー科 大矢幸弘先生講演会

 

①妊娠中や授乳中の母親の食物制限はお子さんのアトピー性皮膚炎の発症を予防することは出来ません。

 

②ピーナッツの摂取を乳幼児期から開始する群とピーナッツを5才まで食べない群で比較するとピーナッツの摂取を乳幼児期から開始する群の方が、5才児でのピーナッツアレルギーが少なかったという結果がみられました。

これは、ピーナッツを全く食べなくてもピーナッツアレルギーの予防は出来ないことを示しています。それどころか、ピーナッツを食べない方がピーナッツアレルギーのリスクが高くなります。

ピーナッツの摂取を乳幼児期から開始する群に5才児からピーナッツを除去してもピーナッツアレルギーは少なかったのです。

 

③生後6ケ月までに卵を始めた群は生後12ケ月まで卵を除去した群とでは生後6ケ月までに卵を始めた群の方が卵アレルギーを抑制することが出来ます。この時の必要条件は、皮膚の状態を良い状態にしておくことと、卵を少しづつ与えることがキーポイントとなります。食物抗原を回避しても食物のアレルギーの発症を予防することは出来ません。

 

④新生児に保湿剤を塗布することで、アトピー性皮膚炎の発症率を約半分に抑制することが出来ました。生後1週間未満の新生児から保湿剤を使用したスキンケアを予防的に行うことで、アトピー性皮膚炎の発症予防効果が得られます。早期治療介入群はアトピー性皮膚炎の発症を予防できます。

 

⑤アトピー性皮膚炎の患者さんは有意に卵白の感作率が高くみられます。

 

⑥生後3ヶ月の時にアトピー性皮膚炎がありますと、食物抗原に感作を受ける可能性が高くなります。

 

⑦出生早期の表皮バリアが低いほど2才児の時の食物アレルギーのリスクが高くなります。

 

⑧アトピー性皮膚炎は食物アレルギーのリスクファクターです。アトピー性皮膚炎の発症が食物アレルギーの発症よりも先行して発症します。

 

⑨生後1~4ヶ月の湿疹発症が3才の時の食物アレルギーの危険因子になります。より早く生後1~2ヶ月で湿疹を発症している児の方が食物アレルギーの発症リスクとなります。

 

⑩乳児の遊び場と寝室からピーナッツタンパクが検出されます。普通の家庭のダニを集めると100%卵の製粉が検出されます。赤ちゃんは床をハイハイするので感作されやすいのです。

 

⑪Proactive療法を維持した方が食物アレルギーの発症を抑えることが出来ます。例え、食物アレルギーを発症していてもProactive療法で皮膚をきれいにしておきますと食物アレルギーを抑えることが出来ます。Proactive療法はダニの感作を阻止出来ますがProactive療法では阻止出来ません。

 

⑫アレルギーマーチを阻止するには、アトピー性皮膚炎、乳児湿疹を早期にかつProactive療法で治療した方が良さそうです。皮膚がきれいになってもスキンケアが大切です。

 

⑬石鹸で治ったら必ず保湿剤をぬることが大切です。

ステロイドを使わなくても正常な皮膚が維持できるようにするには

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「ステロイドを使わなくても正常な皮膚が維持できるようにするには」

国立成育医療研究センター 生体防御系内科部アレルギー科  大矢幸弘 先生講演会

 

①文明化都市化に伴う「アトピー性皮膚炎」の増加があります。

 

②「アトピー性皮膚炎」の症状の悪化した時だけステロイドの外用をするReactive(リアクティブ)療法ではいつまでたってもステロイドが止められません。

 

③ステロイドを使用したのに「アトピー性皮膚炎」が治らないというのは全員Reactive療法の患者さんです。

 

④ステロイドの外用薬の副作用を回避しつつ寛解維持をするProactive(プロアクティブ)療法が大切です。

 

⑤ステロイドの外用薬の役割は「アトピー性皮膚炎」の炎症を抑えることです。

この時にステロイドの外用薬の中途半端な使い方をしては効果がありません。ステロイドの外用薬は「アトピー性皮膚炎」の炎症が無くなるまで続けることが大切です。このようにして、「アトピー性皮膚炎」の炎症が無くなればステロイドの外用薬は不要になります。

 

⑥外から皮膚の表面の「アトピー性皮膚炎」の炎症がステロイドの外用薬で消えても、皮膚の深部の「アトピー性皮膚炎」の炎症はおさまっていないので、すぐにステロイドの外用薬を止めてはダメで、Proactive療法に変更してステロイドの外用薬の減量をすれば「アトピー性皮膚炎」の再発はありません。初めはステロイドの外用薬と保湿剤の外用を一日おきに外用を減量するProactive療法が良いのです。

 

⑦黄色ブドウ球菌は、「アトピー性皮膚炎」の悪化因子ですが、ステロイドの外用薬で「アトピー性皮膚炎」の炎症を消失させて皮膚を正常化しますと、皮膚の細菌叢は正常化します。

 

⑧汗に「アトピー性皮膚炎」の悪化因子が含まれていますが、「アトピー性皮膚炎」が治癒して正常化した皮膚であればProactive療法をしながら汗をかかせた方が良いでしょう。

 

⑨「アトピー性皮膚炎」では、寛解の導入をステロイドの外用薬で炎症をなくしてから寛解の維持としてProactive療法を行うのが良い治療法です。皮疹が消失しても、外用薬は必要です。

 

⑩保湿剤の塗布量が多いほど皮膚の保湿剤が高まります。

 

⑪「アトピー性皮膚炎」で皮疹が消失しても保湿剤のスキンケアは極めて大切です。

 

⑫ステロイドを止めたい人は、1日2回以上の保湿剤のスキンケアが必要です。

 

⑬ステロイドを止めたい人は、早寝早起きの習慣形成が必要で、朝に保湿剤を外用することも大切です。

 

⑭集中的に短期間に炎症を徹底的に除去すれば、ステロイドの外用薬の減量が出来ます。

 

⑮朝、スキンケアをすることで、スキンケアのセルフマネジメンが出来て学業成績も上がります。

 

⑯「アトピー性皮膚炎」の治療は生後4~5ヶ月の早期に始めた方が遅く始めるより症状は良いのが特徴です。

 

⑰「アトピー性皮膚炎」の治療をおそく始めたお子さんの方が、早く始めたお子さんに比べて、食物アレルギーの発症が多くなる傾向があります。

 

⑱皮膚の「アレルギー性皮膚炎」の状態が悪いと、離乳食を始めると皮膚から食物が入りこむ経皮感作をおこしてしまいますので、皮膚の「アトピー性皮膚炎」の状態を良くしてから離乳食を始めるのが良いことになります。

かゆみを科学する アトピー性皮膚炎のかゆみのメカニズムと対策

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かゆみを科学するー
 アトピー性皮膚炎のかゆみのメカニズムと対策

 

順天堂大学大学院医学研究科環境医学研究所、
順天堂大学大学医学部付属浦安病院 皮膚科
高森 建二先生

 

 

①健康な皮膚では表皮内に神経線維の伸長はみられません。
アトピー性皮膚炎の表皮内には神経線維が伸出していますのでかゆみをより感じやすくなっています。また、表皮内にある神経線維による「かゆみ」には通常の抗ヒスタミン薬は効果がありません。

 

②皮膚の乾燥を呈している肌はかゆみを伴いやすいです。

 

③うるおいのある肌は皮膚の表面の細胞と細胞の間がびっちりくっついているので外からアレルゲンが入ってこないですし、皮膚の中の水分も外に出ていきません。

 

④皮膚の乾燥はかゆみ閾値の低下となり敏感肌になります。
敏感肌は軽微な刺激に容易に反応してかゆみが誘発されます。また、外部の刺激で過剰にかゆみが増強されます。

 

 

⑤PUVA療法(紫外線療法)は表皮内神経線維の伸出を減少させてかゆみを減少します。
PUVA療法が表皮内神経の伸出を低下させることでかゆみが減少します。アトピー性皮膚炎にPUVA療法をしますと「かゆみ」がとても減少します。

 

 

⑥表皮内神経線維の侵入(伸長)を保湿剤は抑制することが出来ます。
その結果としてかゆみが減少します。

 

 

⑦保湿剤の外用は皮膚の症状が軽い時期から使用すると良いでしょう。保湿剤の外用は表皮内神経線維の侵入(伸長)を抑制して、かゆみを減少させることが出来ます。

 

 

⑧保湿剤は、家族にアトピー性皮膚炎があるなどのハイリスクの赤ちゃんで新生児の時から保湿剤を使用しますとアトピー性皮膚炎の発症の予防が出来る可能性があります。

 

 

⑨グリチルレチン酸の外用薬(デルマクリン軟膏)は皮膚のかゆみを抑制します。
これは、乾燥した皮膚の表皮内神経線維伸長を低下させてかゆみを減少させます。

 

⑩かゆみがあるのは皮膚のバリア機能がこわれている「サイン」です。

 

⑪汗をかいたら水かシャワーで汗を流しましょう。

 

⑫学校でシャワーを浴びるとアトピー性皮膚炎の症状が改善します。

 

⑬汗をかくことは表皮内に水分が貯まるので皮膚を乾燥させないので、アトピー性皮膚炎には良いことです。

アトピー性皮膚炎に関する最近の話題

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アトピー性皮膚炎に関する最近の話題
~日本医科大学 皮膚粘膜病態学 佐伯秀久先生 講演会~

①血清のTARC値はアトピー性皮膚炎が重症になるほど高くなります。 血清のTARC値はアトピー性皮膚炎の病勢を反映しています。 血清のTARC値はアトピー性皮膚炎の皮疹が良くなりますと血清のTARC値は下がってきます。

②アトピー性皮膚炎では、血清のTARC値は小児では年令が下がるほど高くなっています。  小児のアトピー性皮膚炎では、血清のTARC値は皮疹が良くなると下がってきます。

③血清のTARC値はアトピー性皮膚炎の皮膚病変の程度ととてもよくしかも短期的に病勢を反映する指標です。

④アトピー性皮膚炎では皮膚の「水分保持能力の低下」がみられています。

⑤アトピー性皮膚炎では、「かゆみ」の閾値が低下していますのでかゆみをより感じやすくなっています。

⑥アトピー性皮膚炎では「かゆみ」が必発症状です。

⑦アトピー性皮膚炎では、家族内にアトピー性皮膚炎がありますと発症率が上がります。

⑧アトピー性皮膚炎では、二卵性双生児より一卵性双生児でのアトピー性皮膚炎の発症の一致率が上がります。

⑨アトピー性皮膚炎ではフィラグリンの遺伝子異常が高くみられます。

⑩アトピー性皮膚炎の炎症には、ステロイドとプロトピックの外用薬が2本柱になります。

⑪アトピー性皮膚炎の炎症には、スキンケア(保湿剤の外用)が必要です。

⑫アトピー性皮膚炎の炎症には、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬が必要です。

⑬アトピー性皮膚炎では、顔面や首の部分は、皮膚が薄いので、ステロイドの外用によっては皮膚が委縮したり、皮膚が薄くなったり、皮膚の毛細血管の拡張がおこることがありますので、顔面や首の部分にはステロイドの強いものをさけてプロトピック軟膏の方がよい場合があります。

⑭顔のアトピー性皮膚炎には、プロトピック軟膏が良く効きます。

⑮アトピー性皮膚炎では、皮疹の強い時にはステロイドの外用で炎症を抑えて、治ってきたらプロトピック軟膏に変更して、さらに皮疹が良くなった後もプロトピック軟膏を週に3回くらいぬっていますとアトピー性皮膚炎の再燃が抑えられます。(プロトピック軟膏のProactive療法)

⑯プロトピック軟膏はアトピー性皮膚炎の再燃を抑えて、ステロイドの外用薬の使用量も少なくできます。

⑰保湿剤はアトピー性皮膚炎の皮疹が良くなった後も保湿剤をぬっておくとアトピー性皮膚炎の再燃を抑えられます。(保湿剤での寛解維持)

⑱家族にアトピー性皮膚炎がいるアトピー性皮膚炎のhigh risk の生まれて間もない赤ちゃんに生後間もなくから保湿剤を外用しておくとアトピー性皮膚炎の発症を抑えることが出来ます。

⑲乳幼児の湿疹を早期に治療してスキンケアをすることはアレルギーマーチの減少を出来るかもしれません。

⑳アトピー性皮膚炎では、抗ヒスタミン剤を内服しながらステロイドの外用をしますと、「かゆみ」を優位に抑えることが出来ます。

 

21.アトピー性皮膚炎では、「かゆみ」のない時に抗ヒスタミン剤を内服していますとアトピー性皮膚炎の悪化を防ぐことが出来ます。

 

22.プロトピック軟膏は、海水浴やスキーなどに行くなどの特別に紫外線が多くあびる場合を除いては、普段は普通に使用しても日光の影響は心配する必要もなく問題もありません。

小児アトピー性皮膚炎患者のQOLを考える

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国立病院機構三重病院 藤澤隆夫先生講演会より

1.アトピー性皮膚炎はQOL(生活の質のレベル)を著しく低下させる特徴があります。
  
 ①強いかゆみは
  不眠・落ち着きがない・いらいらする・集中出来ないなどの症状を起こしてきます。

 ②外見上の問題で
  外見が気になり外出ができなくなります。
  いじめにあったりします。

 ③合併症として
  発育不良をおこしてきます。

2.乳幼児期のアトピー性皮膚炎のQOL

①乳幼児期ではお子さんを育てている養育者(例えばお母さん)のQOLを評価することが大切です。

 ②お子さんのアトピー性皮膚炎があることで、お母さんが疲労感を感じたり、夜眠れないなどのお母さんのQOLが下がってしまうことがあります。

 ③例えばかゆみを抑える「アレジオン」という抗ヒスタミン剤をお子さんが内服し始めますと、かゆみが減ります。
かゆみが減ってお子さんの皮膚の症状が改善しますと、お母さんのQOLが良くなります。

 ④お子さんのアトピー性皮膚炎を治していく上でお母さん以外の家族の人が、お母さんに協力してくれているとお母さんが感じることが重要です。
そのような環境になりますとお母さんのQOLが改善してくるのです。
お母さんが一人で頑張ってお子さんのアトピー性皮膚炎を治すのは良くないのです。家族の協力が必要です。

 ⑤お母さんのQOLが低いと、母子関係がうまくいきません。
 お母さんのQOLが良いことが乳幼児のアトピー性皮膚炎を治す上で大切なことなのです。

 

⑥QOLの高いお母さんはQOLの低いお母さんに比べて喜びを一層感じる傾向にあります。

 

3.学童期のアトピー性皮膚炎のQOL

 ①アトピー性皮膚炎のお肌のせいで、学校や水泳を休んだりしないかが大切です。

 ②かゆみ止める抗ヒスタミン薬「ザイザル」を内服しますと投与開始後2~4週間でかゆみの改善がみられ、日中と夜間のかゆみが改善します。
 アトピー性皮膚炎が原因で学校や水泳を休むという日常生活のQOLは内服開始後2週間という早い時期から改善がみられます。

 ③ねむけの副作用は学童期の「ザイザル」を使用したお子さんでは一例もみられませんでした。

 ④「ザイザル」は7歳以上15歳未満のアトピー性皮膚炎のお子さんで、すでにステロイドの塗り薬を使用している例で、1回2.5㎎を1日2回服用で効果があります。
 

4.お子さんの保護者が「親がアレルギー体質だから子どもさんがアレルギーなのは仕方ない」とあきらめてしまうことが、学童期のアトピー性皮膚炎でみられていて、これがお子さんのQOLを低下させています。

5.アトピー性皮膚炎が悪化した時だけステロイドを塗るというのはお子さんのQOLを低下させます。

6.お子さん自身がステロイドの塗り薬を面倒くさいと思ってしまうのも、お子さんのQOLを低下させます。

小児アトピー性皮ふ炎の予防と食物制限

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~国立成育医療センター大矢幸弘先生 講演会より

0才の時に湿疹があると、その後に食物アレルギーになる確率が高くなります。
(0才時の湿疹は食物アレルギーの危険因子になります。)
赤ちゃんの時の湿疹を早く治すことで、ヒフからのアレルギー(経皮感作)を予防することが出来るかもしれません。

 

ヒフから吸収されて起こるアレルギー(経皮感作)は食物アレルギーを促進し、逆に口から食物が入って起こるアレルギー(経口感作)は
食物アレルギーを緩和する傾向があります。
「経皮感作」をおこすとその後食物の摂取によって食物アレルギーを起こしますが、全てのお子さんがなる訳ではなく、食物の「経口感作」によって
食物アレルギーにならずにすむお子さんもいます。

 

妊娠中のお母さんの食物制限(卵、牛乳)は、生後12ケ月~18ケ月のお子さんのアトピー性皮ふ炎の発症への予防効果はありません。
それどころか、赤ちゃんの出生体重を約100g低下させてしまいます。
授乳中のお母さんの食事制限も同様に、お子さんへのアトピーの予防効果はありません。

 

「お子さん自身」に牛乳や卵などの離乳食の開始を遅らせても、牛乳や卵の食物アレルギーの発症を予防する効果はありません。
逆に、離乳食の開始が遅いほど、アトピー性皮ふ炎や気管支ぜん息の発症が多くなります。

 

生後5ヶ月~7ヶ月の早い時期に離乳食を開始すると、その後のアレルギーの病気の発症を予防する効果が期待できます。
例えば、ピーナッツアレルギーの有病率は、英国ではイスラエルの10倍になります。
イスラエルの子供は乳児期から早期にピーナッツを摂取していますが、英国の子供は逆に、遅い時期からピーナッツを摂取しています。

アトピー性皮膚炎患者さんへの一言メッセージ

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東京逓信病院皮膚科 江藤隆史先生 講演会より

アトピー性皮膚炎の患者さんで、ステロイドのぬり薬を使いたがらない方の多くは、次の副作用を心配しています。

①顔が丸くなる
②骨がもろくなる
③色が黒くなる
④光に当たって異常な反応を起こし、黒くなる
⑤皮膚が象のように硬くなる・厚くなる

 

実はこの中で、ぬり薬で起こる副作用は、強力なステロイドを長期(例えば一ヶ月半)全身に使い続けた時に、非常にまれですが、①と②が起こる可能性があります。通常の治療では、強力なステロイドを長期に大量にぬることはありませんので、①も②も起こらないはずです。アトピー性皮膚炎の火事が治った後の色素沈着はありますが、③・④・⑤については、全くありません。

 

1.ステロイドのぬり薬の使い方で最も重要なことは、一定量を一定期間、きちんとぬることです。少し使ってよくなるとやめてしまい、また少しぬってよくなるとやめてしまうということを繰り返していると、皮膚は中途半端な火事の状態が続いてしまい、まるで炭火のような火事になり、皮膚の色が黒く厚くなり、いわゆる「苔癬化(たいせんか)」という状態になり、皮膚が厚ぼったく黒くなるのです。
従って、「ステロイドのぬり薬で皮膚が黒くなる・厚くなることは絶対にないので、しっかり使いましょう」ということが大切です。

 

2.しっかりしたぬり薬の治療はどのように行うのか、ということですが、finger tip unit (FTU) といって、指先から第一関節までのばして乗せたぬり薬の量が0.5gで、この量で手のひら2枚、つまりちょうど顔の大きさになりますが、このようにぬった時のベトベト感をまず実感して下さい。つまり、「finger tip unit をしっかり行うこと」が大切です。

 

3.プロトピック軟膏(主に顔面に使用する新しいアトピーのぬり薬)は、リンパ腫という病気になるのではないか、怖い薬ではないかなどといろいろ言われますが、このぬり薬は正常な皮膚には入りません。従って、正常に近いよい状態を保つためには、ステロイドのぬり薬をぬり続けるよりは、プロトピック軟膏をぬっていれば、皮膚の穴のあいたところ(アトピー性皮膚炎の火事のあるところ)だけをふさいでくれるような治療になります。
プロトピック軟膏は、週2~3回ぬれば、十分によい状態を保ってくれるのです。
「プロトピック軟膏は安全です」

 

4.きちんと治療をして、ある程度良くなれば、ステロイドのぬり薬はいりません。プロトピック軟膏もいらなくなります。保湿剤だけでよいのです。スキンケアさえしていればよいのです。
「よくなってもスキンケアは継続しましょう」

アトピー性ヒフ炎の難治性のかゆみ

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難治性のかゆみにはヒフが原因のものと、ヒフ以外に原因があるものに分かれます。
ヒフが原因のかゆみに対しては、かゆみ止めの抗ヒスタミン薬がよく効きますが、ヒフ以外に原因がある場合にはこの薬は効きません。

 

ヒフに伴うかゆみのポピュラーな病気がアトピー性ヒフ炎です。
アトピー性ヒフ炎のように乾燥肌がある場合、かゆみを感じる神経がヒフの浅い所まで伸びているので、外からの刺激に敏感になっています。

 

また、かゆい所をかくことで痛みが起こり、その刺激がさらにかゆみを誘発します。
特にアトピー性ヒフ炎の患者さんのヒフ表面には溝ができていて、外からの異物が入りやすく、ヒフの水分も抜けやすい状態になっています。

 

ですので、保湿をすることでヒフの表面にうすい膜を作り、ヒフへの刺激を減らすことがとても重要です。

 

ヒフ以外が原因の難治性のかゆみでのヒフの状態は、かきこわしによる傷のみです。
ヒフが原因のかゆみのように赤くなったり、じんましんのようになったりはしません。

お母さんと治すアトピー性皮ふ炎

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~愛育病院 山本一哉先生講演会より~

①生後7日目からスキンケアを開始すると皮ふの保湿が保たれ、アトピー性皮ふ炎の発症を防ぐことができます。
この場合のスキンケアとは、市販のスキンケア用品ではなく、お薬の保湿剤が必要です。

出来るならば生後24時間以内に保湿をするのが最も望ましいのです。
何故かというと、生まれた時に赤ちゃんの体をおおっている胎脂が、生後24時間後には拭きとらずとも消えてしまい、ここから皮ふの乾燥が始まるからです。

②アトピー性皮ふ炎のお子さんには、お薬をぬらなければ良くなりません。
まず「お薬をぬりましょう!!」

③「朝、赤ちゃんのお顔を拭きましょう」
今のお母さんは、朝赤ちゃんのお顔を拭かないことが多いようです。
寝ている間にお顔にいろいろな汚れがつくので、これをきれいにふき取ってから保湿剤をぬりましょう。

④保湿剤のローションは全身にぬりましょう。
アトピーの発疹のない所にもぬりましょう。

⑤アトピー性皮ふ炎では「治ったように見えても実は治っていません」
皮ふがきれいな時でも保湿剤をぬって治療を続け、気を抜かないことが一番大切です。

治療で最も大切な事

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~りかこ皮膚科クリニック 佐々木りか子先生講演会より~

生まれて間もない赤ちゃんから10才くらいまでは、皮ふが乾燥しているのでスキンケアが必要です。

朝起きたとき、お子さんの顔にはだ液や涙、汗がついていますので、これらを濡れたやわらかいタオルでふき取ることが重要です。

(だ液が口のまわりについていると、それだけで「かぶれ」てしまいます。)
この時、顔だけでなく、首まわりもふいてあげましょう。何回ふいてもかまいません。
ふいた後は必ず保湿剤をぬりましょう。

お子さんの体は「皮ふ」で守られているという意識が大切です。そのためには保湿が重要です。

お子さんのアトピー性皮ふ炎は、1~2ヶ月に一度の定期的な診察が重要です。
アトピーの調子が良いときにこそ診察させて頂けるのが重要です。

内服薬の「かゆみ止め」の使い分け

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国立病院機構三重病院 藤澤隆夫先生 講演会より

 

*小児の「かゆみ止め」の内服薬

 

a:鎮静性(眠気の強いもの)のタイプは使用した場合、学校での勉強が集中できなくなり「学習能力」が下がってしまいます。

b:非鎮静性(眠気のでない)のタイプのものは「学習能力」の低下をおこさずにアトピー性皮ふ炎の「かゆみ」を改善します。

c:非鎮静性のタイプのものを使用していると「ステロイドの塗り薬」の使用量を減らすことができます。

d:「かゆみ止め」はアトピー性皮膚炎では効果がありますが治療の主役はあくまで「ぬり薬」です。

 

e:アトピーのお子さんでは「ぜん息」に移行するお子さんがみられますが、まだ「ぜん息」になってないお子さんが「かゆみ止め」を飲んでいると「ぜん息」を発症するのを予防する効果があります。
 

意外なアトピー性皮膚炎の治療の誤解!

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大阪府済生会中津病院
  末廣 豊先生 講演会より

*0才の時の皮ふをきれいにすることが、その後のぜん息の発症の予防になります。
1才過ぎのお子さんでは、かゆみ止めを早期に使用することで、その後のぜん息を起こしにくくすることができます。

 

*乳児の早い時期から食物を食べていくことで、食物アレルギーを起こしにくくすることができます。
アトピー性皮ふ炎でも、離乳食は生後6ヶ月から通常通りに開始したほうが良いでしょう。
食物アレルギーを気にしすぎて、アトピーの赤ちゃんの離乳食の開始を遅らせるのはかえって良くありません。

 

*アトピー性皮ふ炎のお子さんをお持ちのお母さんが最もストレスを感じるのは、お子さんの皮ふの「掻き破り」をみることです。
重症のアトピーでは、ぬり薬を十分にぬれていないと感じるお母さんが多く、そうしたお母さんほどお子さんの「掻き破り」をみてストレスを感じています。
多くのお母さんが、お子さんの「掻き破り」を止めさせることが最も難しいと感じています。
「掻き破り」のひどいお子さんに対して、叱ってしまうことが多い傾向にあります。

 

*ステロイドのぬり薬をぬれていないと感じるお母さんは、ステロイドに対しての不安を感じている事が多いようです。
ステロイドを使うと皮ふが黒くなるという誤解がとても多くありますが、皮ふの炎症が慢性的におきているために皮ふが黒くなるのです。
つまりステロイドの影響ではなく、治療が不完全だと皮ふが黒くなるのです。

 

症状が重い急性期はステロイドのぬり薬をしっかり使用し、症状が落ち着いた維持期にはプロアクティブ療法(ステロイドを週に一日だけ使用したり、プロトピック軟膏を使って皮ふの良い状態を保つ治療法)
を併用するのが良いでしょう。

意外なアトピー性皮膚炎の治療の誤解!

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アトピー性皮膚炎が良くならないとクリニックに来られる方は意外にいらっしゃいます。
いくつか気が付く特徴があります。皆さんはいかがですか?

1、ワセリンを塗っているのにアトピー性皮膚炎がまったくよくないといわれるお母さんは……

a.アトピー性皮膚炎の皮膚の状態が良い時にワセリンやヒルドイドソフトなどの保湿剤を塗ってお肌のスキンケアをするのは正しい治療法です。

 

b.ところが、アトピー性皮膚炎の皮膚の状態が悪化している時に、ワセリンやヒルドイドソフトを塗っても効果はありません。
アトピー性皮膚炎が悪化している時には適切なステロイドの塗り薬を塗ってアトピー性皮膚炎の火事を鎮火してあげるとお肌は良くなります。

 

c.ステロイドの塗り薬を一週間ほど塗っていただいて、お肌が改善しましたらその次の週はステロイドの塗り薬とワセリンやヒルドイドの保湿剤を隔日で塗ります。
1日目はステロイドの塗り薬で2日目は保湿剤、3日目はステロイドの塗り薬、4日目は保湿剤といった形です。

 

d.一週間これを継続して、お肌が良い状態なら、今度はステロイドの塗り薬を1日塗って、2日目と3日目は保湿剤を塗ります。
これを繰り返していって、ステロイドの塗り薬が一週間に一日までに間隔があいて、お肌の状態が良いようでしたら今度は保湿剤の塗り薬のみをしてみます。

 

e.この間隔的にステロイドを塗っている時や保湿剤だけを塗っている時に、お肌に部分的にアトピー性皮膚炎が悪化した場合は、その部分にステロイドの塗り薬を1週間ほど塗ります。

 

f.基本はこれだけです。皆さんも試してみませんか。

アトピー性皮膚炎の管理

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~神奈川県立こども医療センター 馬場 直子先生講演会より~

①アトピー性皮膚炎とは~
a)かゆみのある湿疹です。
b)悪くなったり、良くなったりを繰り返しています。
c)生まれつきの素因をもっています。

②貨幣状の苔癬化型のアトピー性皮膚炎(island type)は、島状に部分的にアトピー性皮膚炎がみられているために
真菌(カビ)と間違われることが多いので、注意が必要です。

 

③アトピー性皮膚炎のお子さんの爪がピカピカ光っていたり、爪が短くなっている、爪を切ったことがないといったことがある場合は、お子さんはかなり頻回にお肌をひっかいているサインとなります。

 

④アトピー性皮膚炎の原因は
a)アレルギーが関与しています。
b)皮膚のバリア機能障害(お肌を守る力が、低下しています。)があります。
例えばドライスキン(乾燥肌)もその一つです。

 

⑤アトピー性皮膚炎の治療は
a)アレルギーの原因となるアレルゲンの回避です。
b)スキンケアです。

 

⑥スギ花粉で、顔にアトピー性皮膚炎が出るお子さんがいます。

 

⑦日光で日焼けして、顔にアトピー性皮膚炎が出るお子さんがいます。

 

⑧ドライスキンがありますと、かゆみを感じる神経が皮膚の浅いところに伸びてきて、かゆみを感じやすくなっています。

 

⑨アトピー性皮膚炎は、体の中でも出っぱっているアゴやオデコに湿疹が出やすい傾向にあります。

 

⑩アトピー性皮膚炎のスキンケアは

 

a)皮膚を清潔にするスキンケアが大切です。石けんで洗うことが重要です。
b)皮膚をこすりすぎると、皮ふのバリア機能が壊れてしまうので、基本はこすらず、優しく洗うことが重要です。
c)バスタブに浸かると、かゆみが増してしまい、皮膚を守っている皮脂膜も落としてしまうので、熱いお湯は避けて、シャワーが良いと思われます。
d)入浴後15分くらいで、保湿剤を塗ると良いでしょう。こすらず、優しく、たっぷりと塗ると良いでしょう。
e)保湿剤はお肌の「水分保持」、「バリア機能の補強」、「軟化しやわらかくする作用」があります。
f)尿素製剤の塗り薬は、お肌のバリア機能を破壊してしまうことがありますので、 アトピー性皮膚炎ではあまり使わない方が良いでしょう。
g)食物アレルギーも皮膚から食物が侵入しておこることが多いので、スキンケアは重要になります。
h)食物アレルギーも気道アレルギー(ぜん息)も、皮膚からアレルギーの原因であるアレルゲンが侵入しておこるのではないかと考えられています。
i)ピーナッツアレルギーは、母乳中のピーナッツではなく、家庭内のハウスダストの中のピーナッツ含有量によって食物アレルギーがおこっています。
j)アトピー性皮膚炎が重症のお子さんでは、ステロイドの塗り薬を塗った後にその上から亜鉛華単軟膏を重ねて塗り、その上からカーゼ等で被うと効果が上がります。
この様に湿疹の部分を被うことで直接かかなくすることが出来て、局所のひどい苔癬化や顔のびらんに効果があります。
k)重症のアトピー性皮膚炎では、初めにステロイドのぬり薬を使い、すこし良くなったらプロトピック軟膏へ変更すると良いでしょう。
さらに良くなりましたら、「プロトピック軟膏」か「ステロイドのぬり薬」を週1日だけぬり、残りの6日は保湿剤にする「プロアクティブ療法」が良いでしょう。
プロアクティブ療法とはアトピー性皮膚炎の再燃が少ない治療法ですので、より良いアトピー性皮膚炎の治療と言えます。
この治療をしたときには、最低でも6ヶ月は継続が必要です。
6ヶ月を過ぎましたら、週1日塗っていたプロトピック軟膏を止めてみて、アトピー性皮膚炎の症状が出てくる場合は継続が必要です。
症状が出なければそのまま中止して、保湿剤だけで良いでしょう。
l)1日2回の保湿剤をぬっておきますと、全く保湿剤をぬらないお子さんに比べ、アトピー性皮膚炎の再燃を抑制することができます。
お肌の調子が良い時でも、保湿剤を塗っておくことが大切です。

小児アトピー性皮膚炎によるProactive外用療法

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小児アトピー性皮膚炎によるProactive外用療法

国立成育医療センター ~大矢幸弘先生講演会より~

①アトピー性皮膚炎皮膚炎の外用療法(塗り薬)は、アトピー性皮膚炎の湿疹が改善した後でも間欠的にステロイドの外用薬を塗って皮膚が良い状態を維持したまま、徐々に保湿剤を塗る日を増やしていくProactive療法が大切です。
二歳以上のお子さんでは、ステロイドの外用薬の代わりに、プロトピック軟膏を顔につけるProactive療法も有効です。

 

②Proactive療法のほうが、湿疹が悪化した時だけステロイドの外用薬を塗るReactive療法よりもアトピー性皮膚炎の再発が少ないというメリットがあります。

 

③Proactive療法中に、アトピー性皮膚炎が急に悪化したら、ステロイドの外用薬を一定期間塗り続けて湿疹の改善をします。
その後、よくなってからProactive療法に戻ればよいのです。ここで重要なことは、Proactive療法で皮ふの良い状態を維持していた方が、アトピー性皮膚炎が再発した時にステロイドの外用薬やプロトピック軟膏の効果が良く出るという特徴があります。

 

④例えばステロイドの外用薬やプロトピック軟膏の外用薬を連日使用して、お肌がきれいになりましたら、一日おきにステロイドの外用薬やプロトピック軟膏の外用薬を保湿剤と交代(隔日)に塗り替えてみます。これでProactive療法の開始となります。この状態をしばらく続けて、お肌がきれいであれば2日おきにステロイドの外用薬やプロトピック軟膏を塗る方法に切り替えて、ゆっくりとステロイドの外用薬をプロトピック軟膏の外用薬を塗る期間を少しずつあけていきます。

 

⑤Proactive療法は伸長ののびは良いです。

 

⑥Proactive療法を進めていきますと、アレルギー反応の原因を示す総IgE値が次第に下がっていきます。

 

⑦Proactive療法治療を進めていきますと、卵や牛乳に対するアレルギー原因を持つ卵白IgE値や牛乳IgE値が次第に下がっていきます。

⑧すなわち、アトピー性皮膚炎のお肌をきれいに維持していた方が、食物アレルギーが改善するという効果があります。

 

⑨Proactive療法は湿疹がゼロになってから初めて開始するのが大切です。

 

⑩重症のアトピー性皮膚炎では、はじめはステロイドの外用薬を塗って、お肌がきれいになってからステロイドの外用薬をプロトピック軟膏を併用すると良い傾向があります。

 

⑪顔のアトピー性皮膚炎は、湿疹が消失したらプロトピック軟膏の外用薬のProactive外用療法を開始します。具体的には、ステロイドの外用薬を塗ってお肌が良くなったらプロトピック軟膏をしばらく塗って、その後間隔をあけてステロイドの外用薬を塗り、さらにその後、プロトピック軟膏に変更します。
これを繰り返していき、ステロイドの外用薬をプロトピックの外用薬を塗る間隔を少しずつのばしていきます。

 

⑫Proactive外用療法で最も大切なのは、ステロイドの外用薬やプロトピック軟膏の外用薬できれいになっても、その後も保湿剤を塗り続けることです。

小児アトピー性皮膚炎に対するProactive Therapyの有効性

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TARCを指標に加えた治療戦略

成育医療研究センター 大矢 幸弘先生講演会より

①かゆみによる睡眠障害は皮ふからの体液の漏出による成長障害がありますので、ステロイドの塗り薬が重要になります。

②成長期(30才以上)のアトピー性皮膚炎が増えています。
 アトピー性皮膚炎がこどもの病気だったのは昔のお話です。

③アトピー性皮膚炎は小児が34.7%・成人が65.3%の割合になっています。

④アトピー性皮膚炎が大人になると自然に治るというのは間違いです。

⑤1980年~1990年代のステロイドバッシング(ステロイドを使用しないでアトピー性皮膚炎を治すという考え方)全盛期時代のお子さんが成人になり、脱ステロイド療法を続けている結果として、治らずに苦しんでいる20代~40代の大人のアトピー性皮膚炎が多いのです。

⑥アトピー性皮膚炎は小児期に皮膚を良い状態に治療して、それを維持することが大切なのです。

⑦適切な強さのステロイドの塗り薬を、適時連日塗れば必ずアトピー性皮膚炎の発疹は消失するのです。

⑧ステロイドの塗り薬を塗っても良くならないケースは、アトピー性皮膚炎以外の病気の可能性を考える必要がありますし、あるいは入院治療が必要です。
アトピー性皮膚炎が重症な時には入院してしっかり治療するのです。

⑨Proactive療法
 1)初めにステロイドの塗り薬を塗ってアトピー性皮膚炎の皮膚の発疹を消失させてから、次は週に2回位ステロイドの塗り薬を塗っていると重症のアトピー性皮膚炎に効果があります。

 2)タクロリムスの塗り薬を6週間連日塗ってアトピー性皮膚炎の発疹が消失したら、タクロリムスの塗り薬を週に2回予防的に塗っておきますProactive療法の方が、Reactive療法(アトピー性皮膚炎の発疹が出た時だけタクロリムスの塗り薬を塗る治療法)よりも再発が少なく、皮膚の良い状態を維持することが出来て、さらにさらに再発までの期間が長いのが特徴です。

 3)ステロイドのProactive療法でも同様に、Reactive療法よりも再発が少なく皮膚の良い状態が維持することが出来ます。
 ステロイドの塗り薬もアトピー性皮膚炎の発疹が出た時だけ塗るReactive療法ではなく、皮膚の状態が良い時でも週に1~2回ステロイドの塗り薬を塗っておくProactive療法の方が良いことになります。

 4)アトピー性皮膚炎の発疹を消失させるための初めに使うお薬はステロイドの塗り薬の方がタクロリムスの塗り薬よりも効果は高い傾向があります。

 5)Proactive療法は、タクロリムスの塗り薬でもステロイドの塗り薬でもどちらでも有効です。

 6)ステロイドの塗り薬で始めるProactive療法の方がアトピー性皮膚炎の発疹を消失させる確率が高く、予防にも良いことがわかってます。

 7)Proactive療法をしている時の方が、アトピー性皮膚炎が再発した時の改善が良い傾向があります。

 8)Proactive療法はステロイドやタクロリムスの塗り薬を、アトピー性皮膚炎の発疹が消失するまで連日塗ります。
 その後にステロイドやタクロリムスの塗り薬と保湿剤を隔日に交互に塗ります。
 この状態で皮膚が良ければ、ステロイドやタクロリムスの塗り薬を3日に1回の塗り方に変更します。
 つまりステロイドやタクロリムスの塗り薬を1日塗ったら、2日目と3日目は保湿剤を塗るのです。
 このようにしてステロイドやタクロリムスの塗り薬の塗る間隔をゆっくりと空けていくProactive療法が有効なのです。

 9)Proactive療法の方がReactive療法よりも伸長の伸びも良く、血液検査のアレルギー要因を示すIgEの値も下がってきます。

 10)Proactive療法をしたお子さんは卵白アレルギーのIgEや牛乳アレルギーのIgEの値が下がってきますが、Reactive療法ではこの傾向はみられません。
 これはProactive療法の効果で、皮膚から食物が侵入して食物アレルギーを起こす機会が減るためです。
 皮膚がツルツルの良い状態だと食物アレルギーの原因食物が皮膚から入ってこないのです。

 11)Proactive療法を成功させるためには、見ても触れても湿疹が「ゼロ」の状態(皮膚がツルツルした状態)にしてから、Proactive療法を開始すると良いのです。

⑩TARC
  1) 皮膚が良い状態を維持出来る指標として血液検査の「好酸球数」や「LDH」や「TARC」がありますが、TARCが最も鋭敏な指標になります。

  2)アトピー性皮膚炎の重症化に伴って「TARC」の値が上昇します。

  3)アトピー性皮膚炎が改善してくると上昇していた「TARC」の値が下がってきます。
    

  4)皮膚の状態だけでなく血液検査によって「TARC」を測定することで、アトピー性皮膚炎が改善しているという客観的な判断が出来ます。

 
  5)皮膚の状態が良くなりますと、血液の「IgE」や「TARC」の値も下がってきますが、「TARC」は健常者の値(125くらい)まで下がってきますが、IgEは下がってきても健常者の値までは下がりません。

  6)「TARC」は乳児は基準値が高く「500~1000くらい」で5才以降は「400くらい」が正常の基準値となります。

 

⑪アトピー性皮膚炎は自然に治るとは限りません。
 成人の重症のアトピー性皮膚炎の多くは乳児期の発症です。

 

⑫乳児期のアトピー性皮膚炎は食物が皮膚から侵入して食物アレルギー招く恐れがあります。

⑬アトピー性皮膚炎の「かゆみ」による「睡眠障害」が成長抑制を招く恐れがあります。

⑭アトピー性皮膚炎の皮膚からの体液の漏出は低タンパク血症や低ナトリウム血症や下痢・発達障害を招く恐れがあります。

アトピー性皮膚炎アトピー性皮膚炎治療のエンドポイント

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国立三重病院 藤澤隆夫先生講演会より

①アトピー性皮膚炎は生活の質を著しく低下させてしまいます。
 1)強いかゆみは~
  不眠をおこします。
  落ち着きがなくなります。
  勉強に集中できないお子さんになります。
 2)外見上の問題が~
  外見が気になって外出が出来ないことがあります。
  友達からいじめられることがあります。

②生後4ヶ月(乳児期)発症のアトピー性皮膚炎と3才以降発症のアトピー性皮膚炎は異なります。

③アトピー性皮膚炎の重症度と血液検査のTARC値は相関があります。
 1)重症のアトピー性皮膚炎ではTARC値が高くなります。
 2)アトピー性皮膚炎を治療する前と治療した後で比較しますと、治療前に高かったTARC値は治療後には下がっていますので治療の効果として良い指標となります。

 

④赤ちゃんのアトピー性皮膚炎で血液検査をしてみますと食物アレルギーを示すお子さんが多くみられますが、実際には食物アレルギーの症状は出ていないお子さんがほとんどです。

 

⑤1歳未満の小児の重症のアトピー性皮膚炎では栄養状態が良くなくて低アルブミン血症を起こしやすいのですが、このような赤ちゃんに皮膚をきちんと治すだけで低アルブミン血症が改善して栄養状態が良くなります。

 

⑥小児のアトピー性皮膚炎では誤った民間治療やアトピービジネスが最も危険です。正しい治療が重要です。

 

⑦アトピー性皮膚炎では皮膚は必ず良くなりますので少し良くなったからといって途中で塗るのを止めてしまうのはリバウンド(アトピー性皮膚炎の再燃)の大きな原因になります。

 

⑧アトピー性皮膚炎の火事が大きな時には消防車並みのステロイドの塗り薬を使い、小さなたき火くらいの時にはバケツの水くらいのステロイドの塗り薬とを使うと良いのです。

 

⑨プロトピック軟膏を使った時のピリピリとした刺激感を減らせる対策としては
 1)プロトピック軟膏を塗る皮膚の部分に前もって十分の保湿剤を塗って、その上からプロトピック軟膏を塗ると良いです。
 2)プロトピック軟膏を塗る皮膚の部分にステロイドの塗り薬で、しっかりと治療をして皮膚がきれいな状態になってからプロトピック軟膏を塗ると良いです。

 

⑩非ステロイド系抗炎症薬(塗り薬)は
 1)抗炎症作用は極めて弱く塗りますと接触性皮膚炎(カブし)を起こりやすい傾向があります。 
 2)非ステロイド系抗炎症薬は、アトピー性皮膚炎の標準治療ではなく、間違った治療になります。お母さんが非ステロイド系抗炎症薬の方がアトピー性皮膚炎に良いというのは誤解です。

 

⑪休憩時間は出来るだけ日陰で過ごし、必要ならば日焼け止めを塗ってお肌を守りましょう。

 

⑫汗はアトピー性皮膚炎の悪化因子ですので汗をかいたらシャワーで流しましょう。

⑬アトピー性皮膚炎があっても普通の生活をすることが治療の目標です。副作用のない治療で快適な生活、かゆみでつらい生活をしない学校生活を普通に出来ることが目標なのです。

アトピー性皮膚炎のスキンケアと外用療法

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杏林大学医学部 塩原哲夫先生講演会より

1.アトピー性皮膚炎のお子さんは「秋」に生まれたお子さんが多い傾向にあります。

2.何故アトピー性皮膚炎が増えたのでしょう。それは「汗」をかく機会が減ったためです。

3.汗腺(汗を分泌する組織)2才半までに出来上がります。

4.お子さんの方が大人の人より汗っかきです。

5.最近のお子さんは全身の汗をかくことが減り、逆に手のひらに汗をかくことが増えています。

6.皮膚の一番表面の角層という部分に、いかに水分をためておけるかがスキンケアのコツになります。

7.野外での夏期の相対湿度の低下と冷暖房の普及が角層内水分量の低下になり、お肌が乾燥してくるのです。
昔は野外は暑く湿度も高く冷房の設備もなかったので、一杯汗をかく機会があったのです。

8.保湿剤(ヒルドイド)を乾燥した皮膚に塗りますと角層内水分量が増加します。

9.ステロイドの外用剤を乾燥した皮膚に塗りますと角層内水分量が低下します。

10.「汗」をかきますと、角層内水分量が増加します。

11.角層内水分量を低下させる薬剤として抗ヒスタミン薬や抗うつ剤があります。

12.「汗」の中には抗菌物質が複数入っています。この抗菌物質の中には皮膚の善玉菌はやっつけないで悪玉菌をやっつけてくれる働きがあります。
ですので発汗が減少しますと抗菌作用が低下しますので「とびひ」や「カポジ水痘様発疹症」などの皮膚の感染症を起こしやすくなるのです。

13.運動をしますと汗をかきますので角層内水分量が増えますので、この状態で保湿剤(ヒルドイド)をぬりますと更に角層内水分量が増加します。

14.プロトピック軟膏はステロイドの外用薬と違ってぬりましても角層内水分量はあまり下がりません。

15.アトピー性皮膚炎では発汗反応が低下していますので、アトピーの発疹のあるところでも発疹がないところでも皮膚に汗をかかない特徴があります。

16.アトピー性皮膚炎では汗をかかせた方が良いのです。

17.アトピー性皮膚炎では発汗の減少により角層内水分量が減少して炎症が起こしてくるのです。

18.保湿剤(ヒルドイド)は発汗反応を改善させます。保湿剤(ヒルドイド)をぬったところは発汗が促進されます。ステロイドの外用をぬったところは発汗が低下します。

19.全身のバランスの良い発汗が大切です。アトピー性皮膚炎では暑い環境にいても汗をかきませんので暑い環境が苦手です。

20.アトピー性皮膚炎では全体の発汗量がとても低下しています。

21.保湿剤のヒルドイドは発汗を亢進させますが、ワセリンは逆に発汗を低下させます。

22.汗をかくには、冷房はあまりつけない方が良いことになります。

23.次の3点がありますとアトピー性皮膚炎になりやすくなります。

 1)学生時代に激しいスポーツをしていた人が急にスポーツをやめた場合
 2)入浴を止めてシャワーのみにするようになった場合
 3)ナイロンタオルで皮膚をこする場合

24.成人の難治性皮膚疾患では一保湿剤のヒルドイドソフトを25g(1本)/日と大量に使用しますと皮膚の状態が改善してきます。この場合にたっぷりと厚く塗って、その上からサランラップでおおってヒルドイドがとれないようにすることが大切です。ヒルドイドソフトは、お風呂を出でから直後に塗ると良いでしょう。

25.保湿剤はジェネリックのものでは角質水分量の増加がほとんど見られず効果がありませんので注意が必要です。

26.保湿剤は皮膚部(発疹のある部分)以外にも使用することが大切で厚くたっぷりと、たくさんぬると良いでしょう。

27.シャワー浴より入浴のが角質内水分量にとっては良いことになります。

28.プロトピック軟膏はステロイドの外用薬と異なって皮膚を乾燥させることはありません。皮膚の発汗低下が皮膚を乾燥させる最大の原因です。

29.赤ちゃんのアトピー性皮膚炎ではオムツのところには発疹があまりできません。これはオムツをしている部分は発汗が亢進しているので乾燥しないからです。

30.アトピー性皮膚炎で感染を起こした時はステロイドの塗り薬を使用した方が感染の原因の細菌の減少が抗生剤のぬり薬より速い場合があります。

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