アレルギー性鼻炎(花粉症)

QOL向上を目指した花粉症治療と対策

東京慈恵医大 耳鼻科 松脇由典先生講演会

1.高校生で季節性アレルギー性耳鼻科(花粉症)は学習能力の低下や試験で良い成績を収められないことと関連します。

2.抗原回避

スギ花粉症で空気清浄器は次のようなメリットがあります。

①室内で有効です。特にへパフィルターが着いた空気清浄器がスギ花粉の回避に有効があります。

②鼻の症状だけでなく眼の症状(眼のかゆみ・流涙)にも効果があります。

③花粉が飛び終わった後も花粉症の患者さんはしばらく症状が出ますが、ヘパフィルターの空気清浄器を使っていますと、この花粉が飛び終わった後の症状も抑えることができます。

④(市販の)空気清浄器は花粉症に対して鼻の症状だけでなく眼の症状も改善します。

⑤空気清浄器の設置場所は寝室の枕元の近くがよいでしょう。

⑥花粉症の期間中は空気清浄器は24時間運転し続けることが大切です。

知って得する抗ヒスタミン薬の豆知識

NTT東日本関東病院 五十嵐敦之先生講演会

①第二世代の抗ヒスタミン薬は個人差がかなりあります。

②このため効果が不十分の時には、抗ヒスタミン剤を二剤に併用するよりも、同じ抗ヒスタミン剤の単独の増量の方が良いことがあります。
例えば一日一回一錠のものは、一日一回二錠に増量することで血中濃度が上がり効果が出ます。

③自動車の運転制限がないのは、アレグラ・クラリチンです。

④ザジテン・ジルテック(ザイザル)・クラリチンは痙攣の報告があります。

⑤アレロック・アレジオン・セルテクトは幼児に使える痙攣のない、抗ヒスタミン薬です。

⑥ジルテック・クラリチンは妊婦さんの「蕁麻疹」に使えます。

⑦クラリチン・アレグラは授乳しているお母さんにも使えます。

⑧高齢者にはアレグラ・アレジオンが使える抗ヒスタミン薬です。

⑨呼吸が最も速いのは、アレロック・ザイザルです。

⑩腎不全の患者さんには、アレグラ次いでアレジオン・エバステルが使えます。

⑪エバステルは頓服として使用するのは不適切です。
エバステルは、かゆい時だけ頓服で内服しても効果がありません。

小児のアレルギー性鼻炎

小児のアレルギー性鼻炎

One Airway,One Diseaseの観点から

国立三重病院 増田 佐和子先生講演会より

 

1.幼児から10才にかけてのアレルギー性鼻炎が増えています。

2.アレルギー性鼻炎の抗体は
 
①ダニは0~3才に増加しています。

②スギは2~5才に増加しています。

③ダニとスギは4才以上で両方のアレルギーが増加しています。

3.ぜん息の80%はアレルギー鼻炎を合併しています。

4.アレルギー性鼻炎の30~40%は、ぜん息を合併しています。

5.小児期発症のアレルギー性鼻炎は、成人期のぜん息発症のリスクを高くします。
  例えば7才までにアレルギー性鼻炎がありますと、43才でのぜん息の発症が高くなります。
子どものアレルギー性鼻炎は成人になったときに、ぜん息になる確率があることに注意が必要です。

6.2~10才のぜん息のお子さんの約80%がアレルギー性鼻炎を合併しています。
  この中にはお母さんが気がついていない無症候性のアレルギー性鼻炎があります。

7.アレルギー性鼻炎合併のぜん息のお子さんの1/3が鼻症状が先行に発症しています。

8.アレルギー性鼻炎は2才くらいまでに発症します。

9.アレルギー性鼻炎合併のぜん息ではアレルギー性鼻炎の症状が悪化するとぜん息の症状も悪化します。

10.お子さんのアレルギー性鼻炎は増加していまして、その背景にはアレルギー性鼻炎の発症の低年齢化があります。

11.子どものアレルギー性鼻炎で困るのは

①鼻閉→口呼吸が常態化します。

②鼻汁→鼻をかまずにすすってしまいます。(自覚症状を感じにくい傾向にあります。)

③お子さんが目や鼻をこするのがお母さんは困ります。

④お子さん自身が目や鼻をこすってしまうのを困っています。

⑤外遊びやスポーツをすることができません。

⑥夜間よく眠れません。

⑦お子さんにアレルギー性鼻炎がありますと、お母さんはよりストレスを感じてしまいます。

⑧アレルギー性鼻炎は「いびき」の危険因子にもなります。
 お子さんの「いびき」の危険因子は、
 1位 アデノイド
 2位 扁桃肥大
 3位 アレルギー性鼻炎なのです。

 

⑨お子さんのアレルギー性鼻炎を治療しますと、お子さんの睡眠の質が改善します。

⑩くしゃみ・鼻汁・鼻閉以外にアトピー性皮膚炎などの皮膚の症状も多くみられます。

12.症状として注意することは

①朝起きた時に「くしゃみ」がありませんか?

②お口を空けて過ごしてませんか?

③アレルギー性鼻炎に加えて副鼻腔炎も合併している時には、両方の病気の治療が必要です。

④片側だけの膿性鼻漏は「鼻異物」のことがあり、見過ごされることがありますので注意しましょう。

⑤夜間の呼吸困難と「いびき」の場合は、アデノイドによる睡眠時無呼吸症候群がありますので、この場合には手術が必要です。

 

13.お子さんのアレルギー性鼻炎の点鼻ステロイド薬は症状が出た時だけに使うのではなく、継続して使用して炎症をしっかりと抑えることが大切です。

14.中等症以上のぜん息で、アレルギー性鼻炎もあるお子さんに

①キプレスの単独内服例では、鼻と咳の症状がよくなります。

②吸入ステロイド薬単独使用例では、咳は良くなりますが鼻は良くなりません。

③吸入ステロイド薬単独使用例では、アレルギー性鼻炎の改善にはなりませんが、キプレスの単独内服ですと、アレルギー性鼻炎もぜん息にも改善がみられます。

15.お子さんのアレルギー性鼻炎は症状の自覚や訴えが乏しいのが特徴です。

16.早期にお子さんのアレルギー性鼻炎の治療を開始しますと、鼻炎の増悪やその後のぜん息の重症化も防ぐことが出来るかもしれません。

アレルギー性鼻炎とぜん息

福井大学 藤枝重治先生講演会より

①2才未満のアレルギー性鼻炎は
1)スギ花粉症のおこる2,3,4月生まれのお子さんに多い傾向があります。

2)2才未満の2~6%にアレルギー性鼻炎のお子さんが実際にいらっしゃいます。
(ちなみに20代でのアレルギー性鼻炎の患者さんは30%に増えています。)

②アレルギー性鼻炎の人は食物に注意しましょう。
1)アレルギー性鼻炎に良い食べ物として
魚、ヨーグルト、乳酸菌、旬のフルーツ、おろしそば、にんじん、ほうれん草、ブロッコリー、シソ、てん茶、緑茶があります。
質素な食事でお米が中心のものが良いでしょう。

2)アレルギー性鼻炎に良くない食物として
肉、レバー、揚げ物、高たんぱくの食品があります。
油っこい食物の過剰摂取はアレルギー性鼻炎には良くありません。

③小児のアレルギー性鼻炎は
1)季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)には抗ヒスタミン剤を主に服用し、それでも症状がひどい時にはセレスタミンシロップを1週間内服すると症状が良くなります。

2)通年性アレルギー性鼻炎には抗ロイコトリエン拮抗薬(オノン)を主に使用されると良いでしょう。

3)アレルギー性鼻炎のお子さんは感染がとても多く、お子さんによっては年25回以上の感染をおこします。

4)アレルギー性鼻炎のお子さんは病院に来る日数がとても多いのが特徴的です。

5)年間15回以上の抗菌薬(抗生剤)の内服を受けていることが多いと、小児のアレルギー性鼻炎になりやすい傾向があります。

6)三種混合ワクチンを接種していると、小児のアレルギー性鼻炎になりにくい傾向があります。

④舌下免疫治療法(新しいアレルギー性鼻炎の治療法)
1)3年以上継続すると半分以上の方に症状の改善がみられ、内服薬の使用回数が減ってきます。

2)有効率は60%~70%です。

3)副作用はあまりなく、咳やアトピー性皮膚炎の悪化など軽微なものが多く、重篤なものはありません。

4)5年間継続してその後中止しても、2~5年間は効果が継続します。

5)プロバイオティクス(乳酸菌)を併用しますと、舌下免疫療法の効果が開始1年後からと早期にみられてきます。

小児のけいれんと抗ヒスタミン薬について

順天堂大学 新島新一先生  講演会より

①抗ヒスタミン薬の使用の際には、過去に「けいれん」があったかの確認が必要です。
②抗ヒスタミン薬はアレルギー性鼻炎の鼻汁やくしゃみの改善やアトピー性皮膚炎や蕁麻疹の痒みの改善に使われる薬です。
③てんかんのある成人が、抗ヒスタミン薬を内服するとけいれん発作が増悪するので注意が必要です。
④10才未満のお子さんで、けいれんの既往がある場合には抗ヒスタミン薬の内服によってけいれんが誘発されますのでお薬の選択が重要です。
⑤熱性けいれんのお子さんの45%が抗ヒスタミン薬を飲んでいたとの報告があります。危険因子として抗ヒスタミン薬の内服があげられます。

⑥6ヶ月以上の乳幼児で「鼻汁」の症状に安全に使えるお薬はアレジオンドライシロップのみでこれ以外のお薬は避けたほうがよいでしょう。
アレジオンドライシロップはお薬が脳内に移行することが低い安全なお薬で乳幼児には最も適しています。

⑦小児において脳内移行に伴う「けいれん」を誘発しない安全なお薬は次のものがあげられます。
a)抗ヒスタミン薬の中ではアレグラ・アレジオン・エバステルがあげられます。
b)ぜんそくのお薬ではオノン・シングレア・IPDがあげられます。

⑧けいれんの既往のあるお子さんでは「けいれんを誘発する可能性のあるお薬」は使用を避けることが大切です。
具体的には次のお薬に注意が必要です。
ザジテン・セルテクト・ポララミン・アレルギン・ペリアクチン・ヒスタール・アタラックス・レスタミン・タベジール

上記のお薬は脳内移行の多いお薬ですので、けいれいんの既往があるお子さんが服用するとけいれんを誘発しやすくなります。

お子さんのアレルギー性結膜疾患の対応

東京女子医大 高村悦子先生 講演会より

花粉症に見られる「アレルギー性結膜炎」の治療は次のことがポイントになります。

●目の痒みや充血などのアレルギー性結膜炎の症状を改善するには点眼薬が有効です。
パタノールやリボスチンの軽いタイプの点眼薬は目にしみませんし、副作用がほとんどないのでお子さんにも安全に使っていただけます。
ザジテンやリザベンの点眼薬は目にしみるのでお子さんには避けた方がよいでしょう。

●点眼薬は花粉症と一緒で、花粉の飛び始める前から使用しておくと、目の症状を軽くすることができます。

●点眼薬で症状はおさまらない時にはステロイドの点眼薬が必要になります。
気をつけなければならないことは、ステロイドの点眼薬は眼圧が上昇して緑内障をおこすことがありますので眼科医の指導の元で短期間の使用がよいでしょう。

●目に花粉が入るのを減らすために、外出時はゴーグル型メガネや普通のメガネをかけると有効な予防手段です。
 
●人工涙液で目の中の花粉を洗うことも大切です。人工涙液は病院で処方されたものではなく、市販のもので十分です。
出来れば防腐剤の入っていない使い切りのタイプがよいと思います。

●重症のアレルギー性結膜炎を「春季カタル」といってお子さんに多い傾向があります。
軽度のアレルギー性結膜炎やアトピー性結膜炎にみられる目の痒みは少なく、目の痛みや視力低下がみられる傾向があります。
小学生から発症することが多いようです。

●お子さんの「通年性アレルギー性結膜炎」では花粉症のように目の痒みが出ることは少ないのですが、目が充血したり、こすったり、かすむなどの症状が目立ちます。

●目の周囲のアトピー性眼瞼炎は、プレドニン眼軟膏で症状をよくしておくと、目の中のアトピー性角膜炎も改善してきます。

小児スギ花粉症に対するロイコトリエン受容体拮抗薬の可能性

小児スギ花粉症に対するロイコトリエン受容体拮抗薬の可能性

日本医科大学 頭頸部・感覚器科学  大久保 公裕先生講演会 

①小児の「アレルギー性鼻炎」の症状では外出などの影響は軽いですが、睡眠障害の症状は重くなります。

②「アレルギー性鼻炎」の症状が出る前から「アレルギー性鼻炎」のお薬を使用することでシーズン中の症状をやわらげる初期療法を多くの患者さんは希望しています。 

③初期治療を希望する人より、希望しない人の方が鼻閉の症状が重くなります。 

④プラルンカスト(ロイコトリエン受容体拮抗薬:オノン)のスギ「アレルギー性鼻炎」における初期療法は

(1)鼻水、くしゃみ、鼻閉をおさえることが出来ます。その中でも鼻閉を最もおさえます。

(2)経口抗ヒスタミン薬や局所血管収縮薬などの併用を少なくすることが出来ます。 

⑤小さい頃から鼻閉のあるお子さんは、口で呼吸するものと思っていて、鼻で呼吸することは思っていません。鼻閉にお子さん自身が気づいていないのです。 

⑥お子さんでも大人の方でもプランフルカストは「アレルギー性鼻炎」の鼻症状全体をおさえて、特に鼻閉に効果があります。 

⑦スギ花粉の暴露が急に増えると「アレルギー性鼻炎」の症状は悪化しますがプランルカストをその前から内服していますと「アレルギー性鼻炎」の症状は安定し、また、暴露で悪化してもその後の「アレルギー性鼻炎」の症状がまた改善して安定します。 

⑧舌下免疫療法は

(1)「アレルギー性鼻炎」が重症化しないのが特徴です。

(2)「アレルギー性鼻炎」の症状は活原開始後の一年目のシーズンより二年目のシーズンの方がおさえられてより効果がでます。

(3)治療を止めたあとも「アレルギー性鼻炎」の症状がおさえられます。

(4)口腔の舌根をまわる腫れはおこりません。

(5)声門の浮腫はおこりません。 

⑨「鼻汁」のお子さんは中耳炎になりません。

「鼻閉」のお子さんは、鼻汁がのどにまわる後鼻漏になりますので中耳炎になりやすいです。 

⑩「ダニ」の舌下免疫療法は「夏」に始めるのがベストです。

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以前には見られなかった小さなこどものアレルギー性鼻炎が著増しています。
症状は、鼻水・くしゃみ・鼻閉ですが、鼻汁・くしゃみタイプのアレルギー性鼻炎のお薬と、鼻閉タイプのアレルギー性鼻炎のお薬、の2種類あります。
適切なお薬を使い分けることが重要です。

両方のタイプの症状を示すアレルギー性鼻炎では、両方のお薬の併用が必要になります。
季節性のアレルギー性鼻炎がいわゆる花粉症と
呼ばれるもので、春先のスギやヒノキ、秋のブタクサなどが有名です。

これとは対照的に1年中鼻炎の症状を示すこどもさんがいます。
これを通年性アレルギー鼻炎といいます。


花粉症の治療で最も重要なことは、花粉が飛び始める前の時期からアレルギー性鼻炎のお薬をのむこと(初期療法)です。


花粉が飛び始めて症状が出てからお薬をのむのと比べて、はるかに症状を軽く出来るメリットがあります。

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治りにくいケースでは慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の
合併がみられることがありますので、この治療を併用するとより効果が出る場合もあります。

こどもが自分で鼻のところを手でこすっている時には、アレルギー性鼻炎を考えましょう。

気管支喘息やアトピー性皮膚炎のこどもでは、アレルギー性鼻炎を併発してくるこどもが多い傾向があります。

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