新型インフルエンザ情報

インフルエンザ対策の問題点 -ワクチン、診断、治療-

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インフルエンザ対策の問題点
-ワクチン、診断、治療-
神奈川県警友会けいゆう病院
 小児科 菅谷 憲夫先生講演会

①乳児と13~15才の群でワクチン効果があまり認められていません。
1才~12才の群ではワクチン効果が良く認められています。

②2016年の2~3月頃にはA型とB型のインフルエンザワクチン効果がかなり下がります。
インフルエンザワクチンは接種後半年も効いていません。

③インフルエンザワクチンは、小児では入院防止効果がみられるので積極的に接種しましょう。

④インフルエンザワクチンA型には高い入院防止効果があります。

⑤フルミスト(インフルエンザ生ワクチン)はインフルエンザのH1N1/09には効果がありませんでした。
2014~2015年で、フルミストは不活化ワクチン(インフルエンザワクチン)に比較して変異したA香港型インフルエンザに対する効果が高い証拠は得られていません。

⑥インフルエンザが証明された患者さんだけでみますと、タミフル治療群ではタミフルを使用していない未治療のプラセボ群に比べて、
 A)羅病期間が21%短縮されました。
 B)下気通感染(肺炎など)の合併が44%少ない傾向にありました。
 C)入院も63%少ない傾向にありました。

⑦2015~2016年の今年はB型主体の流行がみられるでしょう。また、3~4割はA香港型が流行するでしょう。

⑧インフルエンザB型の羅患歴のない小児では新しい四価のインフルエンザワクチンが有効でしょう。

⑨小児では、B型はA型と同じように重く、死亡者も出ます。

⑩成人も高齢者もB型には新しい四価のインフルエンザワクチンが50%と有効率が高いので、インフルエンザワクチンの接種をするべきでしょう。

~新型インフルエンザ対策~

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「けいゆう病院 小児科 菅谷憲夫先生 講演会より」

新型インフルエンザの特徴は~

●血液中の酸素の濃度が低下してしまう「低酸素血症」が多くみられます。
呼吸困難の症状が出たり、意識レベルが下がったりします。
重症のウイルス性肺炎をおこしやすい傾向にあります。

 

●新型インフルエンザの日本での死亡者数は200人と世界の中でも極端に少ない事は間違いありません。
重症の肺炎が多発したにもかかわらず、日本の小児死亡例は増加していません。妊婦さんの死亡例もありません。

●インフルエンザ発症後、48時間以内にタミフルやリレンザ、イナビルによる治療を開始することが重要です。
これが出来るのは世界でも日本だけです。
重症のインフルエンザでは、タミフルの増量、長期投与を考えた方が良いでしょう。
吸入タイプのイナビルは小児に効果の高いことがわかっています。リレンザと構造が似ているので、タミフルより早く解熱します。

 

●小児は4才~小学生、成人では30代後半~50代の方が重症化しやすいので、予防接種が大切です。
本来は国民全員に接種するのが望ましいと考えられます。

アジュバントワクチン 

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~千葉県ワクチンフォーラム講演会より
                  黒崎知道先生~

新型インフルエンザは、その流行がおさまっても、次の流行が来る前に、新型インフルエンザワクチンを接種して、予防の準備をしておくことが大切です。
新型インフルエンザワクチンに、これまでかかったことがないお子さんは、次の新型インフルエンザの流行がおきた時に、重症化する可能性があります。

「アジュバントワクチン」とは・・・
「アジュバントワクチン」とは、外国産の新型インフルエンザワクチンです。

その特徴は、
①ワクチンの免疫効果が、国産と比べて高い傾向があります。



②小児において、ワクチン接種後3週間で、100%の確率で免疫がつきます。



③小児において、重症な有害事象(接種部位の腫れや痛みなど)は、みられません。



④注射部位の痛みがやや多い有害事象ですが、ワクチン接種後20分以降に鈍痛がみられます。



⑤たった「一回」のワクチン接種で、著明な免疫効果があります。



⑥小児では、特に低年齢での免疫効果が高くみられます。(国産のワクチンは、小児の低年齢での免疫効果が、外国産に比べて弱い傾向があります)


「アジュバントワクチン」には、次のような利点があります。
①早い免疫の立ち上がりがあります。



②通常のワクチンより、強い免疫の反応があります。


③通常のワクチンより、長期にわたるワクチンの予防効果があります。


④通常のワクチンと比べて、有害事象が増えるわけではありません。


⑤筋注のワクチンなので、局所反応(接種部位の腫れや痛みなど)が出にくく、免疫力も、より高くなります。


「アジュバントワクチン」の接種方法
・6カ月~10才未満  0.25ml の筋注を「1回」のみ    
・10才以上~成人    0.5ml の筋注を「1回」のみ

新型インフルエンザの予防と治療

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原土井病院  池松秀之先生講演会より

*タミフルに耐性のあるインフルエンザウィルス(薬剤耐性インフルエンザウィルス)の、人から人への感染はまだみられていません。
リレンザに耐性のあるインフルエンザウィルスはみられていません。
そのため、薬剤耐性インフルエンザウィルスが拡大してくることはありません。

*B型インフルエンザに対しては、タミフルよりリレンザの方が早く解熱します。

*9才以下のお子さんでは、タミフルより「イナビル」という吸入のお薬のほうが圧倒的に効果があります。

*インフルエンザの家族内感染は、お子さんからお子さんへの感染が最も多くみられます。

*ワクチンを接種した人は、接種していない人に比べインフルエンザの発症を抑える効果があります。

*アジュバントワクチン(単独の新型インフルエンザワクチン)は生後6ヶ月からの赤ちゃんでも一回の接種で100%の免疫効果が得られます。
(当クリニックでは取り扱ってはおりません)

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