食物アレルギー

食物アレルギー情報

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神奈川県立こども医療センター栗原先生著書

 

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「アレルギー疾患発症予防に関するエビデンス」

「アレルギー疾患発症予防に関するエビデンス」

国立医療センター アレルギー科 大矢幸弘先生講演会

 

①妊娠中や授乳中の母親の食物制限はお子さんのアトピー性皮膚炎の発症を予防することは出来ません。

 

②ピーナッツの摂取を乳幼児期から開始する群とピーナッツを5才まで食べない群で比較するとピーナッツの摂取を乳幼児期から開始する群の方が、5才児でのピーナッツアレルギーが少なかったという結果がみられました。

これは、ピーナッツを全く食べなくてもピーナッツアレルギーの予防は出来ないことを示しています。それどころか、ピーナッツを食べない方がピーナッツアレルギーのリスクが高くなります。

ピーナッツの摂取を乳幼児期から開始する群に5才児からピーナッツを除去してもピーナッツアレルギーは少なかったのです。

 

③生後6ケ月までに卵を始めた群は生後12ケ月まで卵を除去した群とでは生後6ケ月までに卵を始めた群の方が卵アレルギーを抑制することが出来ます。この時の必要条件は、皮膚の状態を良い状態にしておくことと、卵を少しづつ与えることがキーポイントとなります。食物抗原を回避しても食物のアレルギーの発症を予防することは出来ません。

 

④新生児に保湿剤を塗布することで、アトピー性皮膚炎の発症率を約半分に抑制することが出来ました。生後1週間未満の新生児から保湿剤を使用したスキンケアを予防的に行うことで、アトピー性皮膚炎の発症予防効果が得られます。早期治療介入群はアトピー性皮膚炎の発症を予防できます。

 

⑤アトピー性皮膚炎の患者さんは有意に卵白の感作率が高くみられます。

 

⑥生後3ヶ月の時にアトピー性皮膚炎がありますと、食物抗原に感作を受ける可能性が高くなります。

 

⑦出生早期の表皮バリアが低いほど2才児の時の食物アレルギーのリスクが高くなります。

 

⑧アトピー性皮膚炎は食物アレルギーのリスクファクターです。アトピー性皮膚炎の発症が食物アレルギーの発症よりも先行して発症します。

 

⑨生後1~4ヶ月の湿疹発症が3才の時の食物アレルギーの危険因子になります。より早く生後1~2ヶ月で湿疹を発症している児の方が食物アレルギーの発症リスクとなります。

 

⑩乳児の遊び場と寝室からピーナッツタンパクが検出されます。普通の家庭のダニを集めると100%卵の製粉が検出されます。赤ちゃんは床をハイハイするので感作されやすいのです。

 

⑪Proactive療法を維持した方が食物アレルギーの発症を抑えることが出来ます。例え、食物アレルギーを発症していてもProactive療法で皮膚をきれいにしておきますと食物アレルギーを抑えることが出来ます。Proactive療法はダニの感作を阻止出来ますがProactive療法では阻止出来ません。

 

⑫アレルギーマーチを阻止するには、アトピー性皮膚炎、乳児湿疹を早期にかつProactive療法で治療した方が良さそうです。皮膚がきれいになってもスキンケアが大切です。

 

⑬石鹸で治ったら必ず保湿剤をぬることが大切です。

魚アレルギー診療におけるQ&A

魚アレルギー診療におけるQ&A

 藤田保健衛生大学 坂本種報徳会病院 小児科  近藤康人先生講演会

 

①ヒスタミン中毒

 魚が死にますと魚の体の中にヒスタミンが増えて、このヒスタミンは加熱しても減りません。

 赤身の魚にヒスタミンは多く含まれます。

 白身の魚にヒスタミンは少なく含まれます。

 ヒスタミンを多量に含む魚を食べますとアレルギー(ヒスタミン中毒)が起こります。

 

②アニサキスアレルギー(アニサキス症)

 お寿司屋さんで「マグロ」「サバ」を食べて2~3週間後にアレルギーが起こります。

 アニサキスは魚の体の中にいる寄生虫で加熱に弱い特徴があります。

 魚が死んだら内臓をすぐに除去するかのがアニサキスアレルギーの予防になります。

 アニサキス症の特徴は激しい上腹部痛と嘔吐です。

 

③非IgE依存症の魚アレルギー

 食後30分~2時間に起こります。

 1才前後の乳児が多いです。

 アニサキスは(-)です。

 

④魚アレルギー

 1)幼児に発症することが多くみられます。

 2)魚を食べて「蕁麻疹」が出ます。

 3)魚アレルギーは成人になるまで治りにくいのが特徴です。

 4)最も多い魚アレルギーは「サケ」であって「サバ」ではありません。

 5)魚アレルギーは2種以上の魚にアレルギーが多くみられます。

 6)魚アレルギーは「サケ」「タラ」「タイ」が多くみられます。

 7)魚アレルギーの85%は「カジキ」や「ツナ缶」は食べられることが多いです。「ツナ缶」は「汁」ではなく「魚肉」を食べるのがポイントです。

 8)アトピー性皮膚炎の患者さんは魚を直接手で触らない方が良いでしょう。

 9)魚アレルギーの患者さんが別の魚を食べた時にアレルギーを起こす確率は50%くらいあります。

 10)魚アレルギーの治療は「サケのフレーク」を少しずつ与える方法があります。

 11)水溶性アレルゲンコンポーネット:パルブアルブミン(PA)

    「PA」はほぼ全ての魚に含まれている魚アレルギーの原因物質です。

    「PA」は魚種間で含有量に差がみられます。

    魚は「βPA」、カエルは「αPA」を持っています。

    もし、魚アレルギーの患者さんがカエルを食べて良いかと聞かれた時

    はアレルギーをおこすことがあるので食べない方が良いでしょう。

「食物アレルギーについて~診療の実際~」

「食物アレルギーについて~診療の実際~」

千葉愛友会記念病院 小児科 根津櫻子先生講演会より

 

①エビやカニにアレルギーがあるお子さんは、タコやイカにもアレルギーがあります。

 

②花粉症のあるお子さんは、果物アレルギーをおこすことがあります。

 

③IgE抗体価が変わらなくても、成長とともに食物アレルギーの症状が出る確率は高くなります。

 

④卵アレルギーでは、生卵が摂取出来なくても加熱卵であれば摂取出来る可能性があります。

オボムユイドは卵白の主要構成タンパク質の一つで熱や消化酵素の作用によってもアレルゲンとしての性質が失われにくいとされています。

卵白のIgE値が高くてもオボムユイドのIgE値が「0」であれば加熱した卵は食べても大丈夫です。

 

⑤ピーナッツアレルギーのIgE値が高くても、ピーナッツの主要タンパク質の一つで加熱耐性が高く、アナフィラキシーを起こしやすいArah2のIgE値が低ければアナフィラキシーは起こしにくいことになります。

 

⑥食物除去試験

ステロイドの外用で治療しても治りにくいアトピー性皮膚炎が対象になります。

この場合は児だけでなく、母乳のお母さんの食べるものも制限が必要になります。

 

⑦入園、入学前には、RAST陽性で今まで一度も食べたことがない食物について、負荷試験をして確認をしておくことが必要です。

 

⑧妊娠中、授乳中に、赤ちゃんのアレルギー発症予防のために母親が食物制限を行うことは必要ありません。

 

⑨赤ちゃんのアレルギー発症予防のために、離乳食の開始を遅らせることは必要ありません。

 

⑩アナフィラキシーの特効薬はエピペンです。

 

⑪喘息の存在はアナフィラキシーの重篤化の危険因子なので、食物アレルギーのお子さんでは喘息のコントロールを十分にしておくことが大切です。

「食物アレルギーの最新の対応」

「食物アレルギーの最新の対応」
国立病院機構相模原病院
臨床研究センター アレルギー性疾患研究部長
海老澤元宏先生 講演会

 

①口腔アレルギー症候群(果物アレルギー)は、口腔粘膜由来のアレルギーです。

 

②食物アレルギーは小腸経由のアレルギーです。

 

③平成16年~平成25年で 食物アレルギーは2倍に、アナフィラキシーは4倍に増えました。

 

④卵、ミルク、小麦が食物アレルギーの3大アレルゲンです。

 

⑤成人になっておきる小麦アレルギーは運動誘発性のものが多いですが、小児におこる小麦アレルギーは運動誘発性のものはありません。

 

⑥食物アレルギーでは、連続する咳や喘息の呼吸器症状は「アナフィラキシーショック」の前兆として重要です。「アナフィラキシーショック」の症状の第1位が皮膚症状で第2位が呼吸器症状です。

 

⑦離乳食を始めるのが生後6ヶ月未満で食物アレルギーのIgE抗体ができている児は皮膚の湿疹(アトピー性皮膚炎)が良くない状況のことが多いです。

 

⑧食物のIgE抗体が陽性でも必ずしも食物アレルギーが出るわけではありません。

 

⑨小麦アレルギーのIgE抗体が陽性の児は食物経口負荷試験をして症状がでる児とでない児がありますが、ω-グリアジンIgE抗体が陽性なら小麦アレルギーと診断して良いことになります。

 

⑩ピーナッツアレルギーのIgE抗体が陽性の児で食物経口負荷試験をして症状のでる児とでない児がありますが、Arah2IgE抗体が陽性ならピーナッツアレルギーと診断して良いことになります。

 

⑪食物経口負荷試験は病院でするもので、クリニックでできるものではありません。

 

⑫子供の食物アレルギーは3才までに1/2は治っていきます。

 

⑬牛乳アレルギーのお子さんが「歯科治療リカルデント」でアナフィラキシーを起こしています。

 

⑭0才児の時に食物アレルギーのお子さんを専門の病院の先生に紹介することが必要です。

 

⑮経口免疫治療(OIT)
A)食物アレルギーのお子さんに、食物アレルギーの原因食物を少量継続でいえると意外にうまく治療ができます。(無理して増量しなくても良いでしょう)
B)微量負荷試験
食物アレルギーの原因食物の微量を少しずつ食べてとっていた方が食べられる量が増えたり、微量継続ができて、完全除去にならなくてすみます。
C)食べ始めは、一過性にIgE抗体が上昇しますが、その後は下がってきます。

 

⑯食物アレルギーの感作は乳児期におこります。

 

⑰口の周りだけ赤くなるのは、判定保留として、他の症状が出なければ食物の摂取をとりつづけてもらうと、口の周りが赤くならなくなっていくようになりますので、負荷試験は必要ありません。

 

⑱プリックテスト
生後6ヶ月以内の乳児は血液のIgE抗体検査とプリックテストを併用するのが良いでしょう。

食物アレルギーの最近の活題

食物アレルギーの最近の活題
~経皮感作と食物アレルギーを中心に~
島根大学皮膚科 千貫裕子先生講演会

 

 

①茶のしずく石けんによる小麦アレルギーは女性が95.9%を占めています。

 

 

②1)食物を食べただけでは症状は出ませんが食物を食べた後に運動をした時に初めて症状が出るのが「食物運動誘発性アナフィラキシー」です。

 

2)「食物運動誘発性アナフィラキシー」は60%が「小麦」によるものです。 小麦による「食物運動誘発性アナフィラキシー」は小麦アレルギーを示す「小麦」や「グルテン」のIgE抗体は約30%しか陽性率がありません。 ところが小麦による「食物運動誘発性アナフィラキシー」は小麦アレルギーを示す「ω-5グリアジン」のIgE抗体では79.6%と高い陽性率を示し、「高分子グルテン」のIgE抗体の」陽性率は18.5%を示しています。 ちなみに、20才以上の「食物運動誘発性アナフィラキシー」の「ω-5グリアジン」の陽性率は「94.5%」と特に高い傾向を示しています。

 

 

③1)茶のしずく石けんによる加水分解型小麦アレルギーの主な症状は「眼瞼部位」の腫れと発赤ですが通常型小麦アレルギーは「全身の膨疹(蕁麻疹)」と皮膚症状の発症部位が大きく異なります。
2)通常型小麦アレルギーではIgE抗体は下がってくることはありませんが、茶のしずく石けんによる加水分解型小麦アレルギーでは茶のしずく石けんの使用を中止しますと、IgE抗体は下がってくる特徴があります。

 

 

④皮膚の改善が食物アレルギーの改善につながります。 皮膚からの感作が終わって食物アレルギーを起こす前にまず皮膚炎を治すことが大切です。例えば赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の顔の発疹にvery strong class のステロイドの外用薬を使用しても問題はありません。

 

 

⑤花粉・食物アレルギー症候群
1)大豆アレルギーは「大豆」を食べておこる「けい口感作」の食物アレルギーと「豆乳」を吸入しておこる「吸入感作」による食物アレルギーがあります。
2)豆乳アレルギーの患者さんの花粉症の合併率は100%陽性です。特にハンノキ特異的IgE抗体(ハンノキ花粉症のアレルギーを示す抗体)の陽性率は100%です。

 

 

⑥ラテックスフルーツ症候群
ラテックスのゴムを使用した後に果物を食べると症状が出る食物アレルギーです。

 

 

⑦牛肉アレルギー
1)「牛肉の蛋白質」と「カレイ魚卵蛋白質」は交差反応がありますので、牛肉アレルギーの人はカレイアレルギーにも注意が必要です。つまり、牛肉アレルギーの患者さんは「カレイ」と「カレイの魚卵」は食べない方が良いことになります。

 

2)牛肉アレルギーの症状は「蕁麻疹」や「アナフィラキシーショック」です。

 

3)B型の血液型の人は牛肉アレルギーを起こしにくい特徴があります。

 

4)牛肉アレルギーの人はペット(犬)を飼っていることが多い特徴があります。これは、ペットについている「マダニ」にかまれて皮膚感作から牛肉アレルギーを起こしてくるのです。牛肉アレルギーは食べてからアレルギーの症状が出るまでかなり時間がかかるので牛肉を食べた直後とは限らないので注意が必要です。牛肉アレルギーは「マダニ」にかまれておきてくるのです。

 

5)セツキシマブ(抗がん剤)投与でもアナフィラキシーを起こすことがあります。

新しいアレルギーマーチの概念における食物アレルギー

新しいアレルギーマーチの概念における食物アレルギー
神奈川県立こども医療センター 栗原和幸先生講演会

 

①抗アレルギー剤のエバステルやシングレアを内服しながら経口免疫療法をした方が治療中の副反応が出にくい傾向にあります。

 

②偏よらず幅広く食べることで食物アレルギーを抑制出来ます。

 

③イスラエルでは離乳期から赤ちゃんにピーナッツを食べさせていますのでお子さんにピーナッツアレルギーが少ない傾向にあります。ところが、イスラエルの赤ちゃんが英国に移住した場合は、英国でピーナッツを離乳期の赤ちゃんに食べさせる習慣がありませんので、この場合のイスラエルのお子さんはピーナッツアレルギーが多くなります。

④固形食を生後4~6ヶ月開始されるべきではないですが、それ以上に開始を遅らせてもアトピー性疾患の発症を予防する根拠はありません。

 

⑤口から食べた食物に関しましては免疫寛容が生じてアレルギーを起こさなくなりますが、経皮感作のような皮膚から食物が入った場合には(食物)アレルギーを起こしてきます。

 

⑥皮膚のバリア機能障害があるアトピー性皮膚炎のお子さんでは経皮感作によって食物アレルギーを起こしてくるのです。

 

⑦皮膚の遺伝子異常(フィラグリン遺伝子の異常)がありますとピーナッツアレルギーを起こしやすい傾向があります。

 

⑧湿疹のある「ぜん息」では食物アレルギーと関連がありますが、湿疹のない「ぜん息」では食物アレルギーとの関連はありません。

 

⑨お子さんや赤ちゃんに食物アレルギーがあっても母乳を与えているお母さんの食事制限は必要ありません。

 

⑩お子さんでは皮膚を治さないとアレルギー全体を進行させてしまいますのでまず、皮膚を治すことが大切です。

 

⑪花粉症がひどくなりますと野菜や果物で食物アレルギーの症状が出る口腔アレルギー症候群が起きてきます。

食物アレルギーによるアナフィラキシーへの対応

食物アレルギーによるアナフィラキシーへの対応

 

ひやりはっと事例からのメッセージ
藤田保健衛生大学 宇理須厚雄先生講演会

 

1.食物アレルギーによるアナフィラキシーは

 

①保育園で5%くらいのアナフラキシーがあります。
②小学生で2.9%くらいのアナフィラキシーがあります。
③学童の食物アレルギーは2.6%でアナフィラキシーは0.14%くらいあります。
④誤食(本来は食物制限のある食物を間違って食べてしまう場合)は保育園で29%発生しています。

 

2.食物依存性運動誘発アナフィラキシー

①エビやカニが原因アレルゲンのことが多いです。
②原因食物を食べた後に3~4時間くらい経過して運動をしますと起こすアナフィラキシーです。
(原因食物を食べただけではアナフィラキシーは起こりません。)
③茶のしずく石けんによる小麦アレルギー
女性が95.6%で男性は4.4%で全国で1540名の患者さんがいます。

 

3.食物アレルギーの対応は

①原因食物の除去

②食物アレルギーの過敏症(アナフィラキシー)に対する緊急対処として
A)皮膚のかゆみや蕁麻疹・口の中のかゆみには抗ヒスタミン剤の内服が必要です。
B)強い蕁麻疹や1回の嘔吐や1回の下痢・間欠的腹痛には抗ヒスタミン剤の内服やステロイドの内服が必要です。
C)全身のかゆみや全身の発赤・全身性蕁麻疹・反復する嘔吐や声がれ・咳き込みにはアナフィラキシーと考えてエピペンが必要です。
D)アナフィラキシーの時には児を横に寝かせて下肢を拳上するように足を高くして寝かせてあげるとよいでしょう。

 

4.食物アレルギーの急性症状に対する緊急時薬として

 

A)抗ヒスタミン剤
  速効性があり抗ヒスタミン作用が強く鎮静作用の弱いものが適しています。
B)内服ステロイド剤
  セレスタミンは使用しないようにしましょう。
  なぜならセレスタミンにはステロイドの量が少なく、鎮静作用のある抗ヒスタミン剤が入っているのでアナフィラキシーには適していません。

 

C)エピペン

 

 

5.エピペン

①保険適応になっています。

 

②お子さんが自分で注射できない時は、代わりに幼稚園や学校の職員の方が注射しても良いことになっています。
(この場合に注射をした職員の方が法律に抵触することはありません。)
救急救命士の方がお子さんに携帯しているエピペンをお子さんの代わりに注射してもよいことになっています。

 

③エピペンが必要な対象者は次の方です。
A)アナフィラキシーの既往のあるお子さん

B)アナフィラキシーのリスクの高いお子さん
(例えば経口免疫療法を受けている食物アレルギーのお子さん)

 

6.祖父母宅

 

食品表示をチェックしてからお子さんの食物を食べさせることが重要です。
食品表示にお子さんのアレルギーを起こす食物が含まれていないかのチェックが必要です。

7.レストラン
普通のレストランはアレルギーの原因物質が混入する可能性が高いので避けましょう。

 

8.自動販売装置
飲み物がノズルから出る共通のタイプの自動販売機は使わないようにしましょう。
例えばジュースもカルピスも同じノズルから出るタイプですと、カルピスの牛乳成分がジュースが出る時に混入する可能性があります。

 

9.菓子パン
菓子パンは卵の成分の含有量が大きく違うことがありますので、注意が必要です。
例えばメロンパンにはたくさんの卵が入っています。普通の菓子パンを食べても大丈夫な卵アレルギーのお子さんがメロンパンを食べますと
卵の含有量が多いので卵アレルギーの症状が出ることがありますので、メロンパンは注意しましょう。

 

10.幼稚園・学校・施設

 

①園や学校の職員がお子さんの食物アレルギーの情報を共有することが大切です。
例えばお子さんのクラスの担任の先生だけが食物アレルギーのことを知っていても、他のクラスの担任の先生も食物アレルギーの情報を知っていませんと、誤食が起こります。
牛乳アレルギーのお子さんが園のパーティーでお子さんの担任ではない先生にカルピスを与えられてアナフィラキシーを起こすこともあるのです。

 

②給食の配膳は除去食の方から配膳しますと誤食が防げます。

 

③食事中と食後に食物アレルギーのお子さんの経過を観察することを怠らないように先生が注意をはらいましょう。

 

④雑巾を触ったら牛乳アレルギーのお子さんの眼が腫れたこともあります。
これは担任の先生がこぼした牛乳を雑巾で拭きとりよく洗っておきましたが、この雑巾を触ったら牛乳アレルギーの症状が出たのです。
おそらく雑巾に少しだけ牛乳が残っていたのでしょう。

 

⑤ピーナッツの豆まきや蕎麦打ち体験やうどん作り体験やうどん作り体験・牛乳パック回収などの行事にも食物アレルギーのお子さんは注意が必要です。

食物アレルギー治療における皮膚バリア機能改善の重要性

食物アレルギー治療における皮膚バリア機能改善の重要性

 

神奈川県立こども医療センター 栗原 和幸先生講演会

 

 1.偏らず幅広く食べることでアレルギー反応を抑制することが出来ます。

 

 2.例えばイスラエルでは離乳期からピーナッツバターを与えていますので、ピーナッツアレルギーが起きません。
ところがイギリスに移住したイスラエルのお子さんはイギリスでは離乳期にピーナッツバターを与える習慣がないので離乳期にピーナッツアレルギーが起きてきます。

 

 3.人工栄養(ミルク)の方が母乳より、アレルギーの要因を示す特異的IgEの値が低い傾向にあります。
   牛乳アレルギー(ミルクアレルギー)の予防対策として早期からミルクを飲ませた方が牛乳アレルギーは少ないのです。

 

 4.食物アレルギーから発症するアトピー性皮膚炎もありますが、実はアトピー性皮膚炎から発症する食物アレルギーも大きいのです。

   皮膚バリア機能障害をおこしている、アトピー性皮膚炎の治療が食物アレルギーにとってはとても大切なのです。

 

 5.早期発症が持続性のアトピー性皮膚炎はフィラグリン遺伝子異常との相関関係があります。
   ピーナッツアレルギーのお子さんでは、健康のお子さんに比べてフィラグリン遺伝子異常がとても多くみられます。

 

 6.アトピー性皮膚炎では非ステロイド系の外用薬は適切ではありません。

 

 7.アレルゲンが皮膚から暴露して経皮感作を起こしますと、食物アレルギーを発症してきます。
   皮膚バリア機能の改善(アトピー性皮膚炎の治療)が大切なのです。
 

 

 8.アレルゲンが経口暴露しますと経口免疫寛容が起こり、食物アレルギーを抑制します。

 

 9.ステロイドの外用薬で皮膚を良くしてからプロトピック軟膏に変更しますとプロトピック軟膏の顔の刺激感は少なくすみます。

 

10.食物アレルギーを心配して母乳栄養のお母さんが自分の食事制限をする必要はありません。
   お母さんが卵1個食べても母乳に出てくる卵は10万分の1という、とても微量でありますので通常は問題はありません。
   母乳栄養を与えているお母さんの食事制限は必要ありません。

「食べること」を目指した食物アレルギー治療の実際

同志社女子大学 伊藤 節子先生 講演会

 

 1.乳幼児期の食物アレルギーは80%が遅発性の症状のものでアトピー性皮膚炎が多いです。

 

 2.乳幼児期の食物アレルギーの関与するアトピー性皮膚炎は母乳を飲んでいる赤ちゃんがほとんどです。
   この赤ちゃんがミルクを初めて飲むと、急性の重症食物アレルギーの症状が出てきます。(即時型反応:アナフィラキシー)

 

 3.食物アレルギーを発症する乳児はアトピー素因を有しています。
   また食物の他に犬の皮くずや猫の皮くずにアレルギーをもっていることが多いです。

 

 4.赤ちゃんがお母さんのお腹にいる時に、経胎盤性のアレルギーが起きてくる確率は0.5%で出生前にアレルギーが起こることよりも、出生後にアレルギーが起こることが多いのです。

 

 5.離乳食開始前のアトピー性皮膚炎の乳児の食物アレルゲンにアレルギー反応を示してくるのは
   ①卵
   ②牛乳(母乳栄養児の方がミルク栄養児よりアレルギーを起こす確率が高いです。)
   ③小麦

 

 6.食物アレルギーによる症状では、生涯で最初におこるアレルギー疾患のことが多いです。

 

 7.食べることを目標とした食事を考えることが大切で、必要最低限の除去食にしましょう。

 

 8.食物アレルギーはアトピー素因は強いグループですので、早期より室内の環境整備を開始しましょう。
   例えば室内ペットの禁止や受動喫煙の回避です。

 

 9.乳児期発症の食物アレルギーの関与するアトピー性皮膚炎は

   ①室内環境の整備
   ②スキンケア
   ③適切な軟膏の塗布
   ④食物アレルギーの疑いのある赤ちゃんは2週間除去してみましょう。
    (母乳も除去してみた方が良いこともあります。)
      A)これで症状が変わらなければ食物アレルギーの心配はありません。
      B)これで症状が軽快しますと食物アレルギーの可能性になります。この場合には母乳を飲ませて症状をみましょう。

 

10.乳児期発症の食物アレルギーに関与するアトピー性皮膚炎では、年齢とともに食物アレルギーの出やすさが減少してきます。

 

11.乳児期発症の食物アレルギーで、即時型反応を示したグループは「ぜん息」になりやすいです。

 

12.お子さんの成長自体が食物アレルギーが治っていく重要な因子です。これは成長に伴ない消化管(腸)の能力が改善してくるためです。

 

13.食物アレルギーが起こるかもしれないといって、離乳食の開始を遅らせることは必要ありません。

 

14.家庭料理をベースに食品除去するのが良いでしょう。

 

15.普通の「お醤油」はアナフィラキシーを起こしていません。
   (原材料として小麦が使用されていますが、極微量なので問題はありません。)

 

16.たまたまアレルギーの検査をして牛乳アレルギーの反応が出たとしても、混合栄養や人工栄養で症状が出なければ継続して良いでしょう。

 

17.牛乳は加熱しても牛乳アレルギーの原因物質のカゼインが変化しないので注意しましょう。
   牛乳は加熱してもこのような状況なので、牛乳アレルギーは卒業しにくいです。

 

18.大豆アレルギーがあっても味噌・醤油・大豆油は食べられる可能性が多いです。

 

19.魚アレルギーがあっても、かつおぶしのだし汁は大半が食べても問題はありませんし、缶詰の魚肉は食べられることが多いです。

 

20.卵ボーロは生卵に近い卵抗原量をもっています。
   クッキーの方が卵ボーロよりはるかに卵抗原量が少ないです。

21.牛乳アレルゲン除去ミルクは牛乳アレルギーの原因であるカゼインはほとんどみられません。

 

22.パンの中の牛乳の抗原量はとても少ないです。

 

23.うどんの中の小麦よりパンの中の小麦の抗原量が多いのです。

 

24.固ゆで卵を直後に卵黄と卵白に別々にしますと、卵の抗原量は少ないのですが、茹でた後にしばらくしてから卵黄と卵白を別々にしますと、卵白が卵黄に溶け出してしまい、卵の抗原量が卵黄の中に増えてしまうので、注意が必要です。

 

25.乳児期発症の食物アレルギーの関与するアトピー性皮膚炎で、食品除去中にもかかわらず症状が悪化した時には、除去食品以外の食品が原因のことがあるので、食物負荷試験が必要です。

 

26.食品除去を解除している時に、体調不良や運動・入浴・非ステロイド系鎮痛剤などの要素が加わりますと食物アレルギーの症状が再燃や悪化しやすいです。

 

27.赤ちゃんの家族歴にアレルギーの病気があっても、赤ちゃんの離乳食を遅らせることは必要ありません。
   どうしても心配なときにはお魚→お肉→豆腐→卵と離乳食を進めていっても良いでしょう。

 

28.お肉のアレルギーはないと考えて良いでしょう。

食物アレルギーの新しい考え方

神奈川県立こども医療センター
栗原 和幸先生講演会より

①母乳の中には赤ちゃんのアレルギーを抑える物質が入っています。

 

②アトピー性皮膚炎を発症してそのままの状態でいますと、食物アレルギーが起こりやすくなります。

 

③食物アレルギーのアナフィラキシーショックの死亡例は平均で2.9人/年と少なく、食物アレルギーで死亡することは極めて少ないと考えられます。
食事は偏らないで幅広く食べることで、お子さんのアレルギー症状は抑えることができます。

 

④アレルギーを発症している状態でも、大量に食物を1回食べておくか、または大量の食物を連日食べておくとアレルギーは起こりにくくなります。

⑤アトピー性皮膚炎で食物アレルギーがある場合に、皮膚の状態を治療して良くしておくと、食物アレルギーの症状も気にならない程度に減ってきます。

 

⑥皮膚の中のフィラグリン遺伝子の異常がありますと、皮膚が保湿することが出来なくなり、皮膚のバリア機能が壊れてしまい、結果としてアトピー性皮膚炎が起こり、皮膚の表面から食物が体の中に入ってきて食物アレルギーが起こるのです。

 

⑦皮膚の異常がありますと、ピーナッツアレルギーが起こってきます。

 

⑧食物を口から食べますと(経口暴露)食物アレルギーのお子さんでも慣れが生じて、食物アレルギーを起こさなくなります。
食物に対して耐性が出来るのです。例えば赤ちゃんの時に卵アレルギーだったお子さんが、1才過ぎから卵アレルギーを起こさなくなってくるのは、この耐性が出来るからなのです。

 

⑨食物が皮膚に付着して皮膚から食物が吸収されますと(皮膚暴露)食物アレルギーを起こしてくるのです。

a)例えばピーナッツオイルをお肌に使用しているお子さんではピーナッツアレルギーが多くなります。(経皮感作)
b)例えば小麦を食べていて全く問題がなかった人が、小麦の入った石けん(茶のしずく石けん)を使ったところ、皮膚から小麦が吸収されて小麦のアナフィラキシーショックを起こしました。(経皮感作)

 

 

⑩離乳食が始まる前に皮膚がカサカサしていますと、経皮感作が起こります。

 

 

⑪経母乳感作?
母乳は赤ちゃんが飲んでいるので、これがすでに経口免疫寛容の状態で、母乳を飲んでも赤ちゃんはアレルギーにはなりません。
母乳の中にはアレルギーを抑える物質が入っていますので、この母乳を食物と一緒に赤ちゃんが食べることで、赤ちゃんが免疫反応(アレルギー)を起こすのを抑えてくれます。
経口免疫寛容は食べた方が治るということにもなる可能性があります。

 

⑫急速特異的経口耐性誘導

 

a)入院しての治療ですが、例えば卵アレルギーのあるお子さんに1日何回も卵を少量から与え始めて、日毎に増やしていき最終的には加熱して卵を1個たべれるようになるものです。(平均14日間で可能になります。)短期間に集中しておこなわれる治療です。
この治療中にみられる食物アレルギーの症状は軽いものがほとんどで、アナフィラキシーのような重症の症状はみられません。(卵・ピーナッツ・小麦)
ただし牛乳の場合少し症状は重く出ることがあります。

 

b)急速免疫寛容治療で食物が食べられるようになっても、その後もその食物を食べ続けることが必要になります。
そうしますと血液検査の食物のIgE値(アレルギーの反応を示すものです)が次第に下がってきます。

 

c)急速免疫寛容治療の成功率は100%です。
日常生活で食べれるようにするのが100%です。

 

d)急速免疫寛容治療はピーナッツアレルギーの場合はピーナッツのIgE値が一時的に上昇しますが、その後に次第に下がってきます。

 

⑬緩徐特異的経口耐性誘導

a)例えば卵アレルギーのあるお子さんに卵を1日1g食べてそれを一週間継続して、症状が出なければ30%増やして一週間継続します。
このように少量をゆっくり時間をかけて食べる治療法です。
大豆アレルギーなら味噌・しょうゆ・納豆を食べてみるのです。

 

b)例えば血液検査でIgE値も高値で食物に対してのIgE値も高値であっても、少しずつ食べてみれば意外に食べられるようになるのです。「ちょっとずつ」食べてみるとよいのです。
この時に皮膚にアトピー性皮膚炎がある場合はステロイドの塗り薬の治療でアトピー性皮膚炎を良くしておくとIgE値も食物に対するIgE値も下がってきます。

 

⑭妊娠中のお母さんの食物除去は不要です。

 

⑮授乳中のお母さんの食物制限は赤ちゃんのアトピー性皮膚炎を悪化させることはありません。

 

⑯ピーナッツアレルギーはピーナッツを赤ちゃんの早い時期から食べていると起こしにくい傾向がみられます。
つまり、食物はなるべく離乳食時期から食べ始めると食物アレルギーを起こしにくくなるのです。

 

⑰食物アレルギーで最も大切なことは

a)適切なステロイドの塗り薬を使用して皮膚のバリア機能を改善することです。
アトピー性皮膚炎が適切に良い状態にコントロールされていないと食物アレルギーには良くありません。

b)積極的に食物を口から食べることです。食べて治す食物アレルギーということです。

 

⑱母乳と人工栄養(ミルク)はどちらがアレルギーを起こしやすいかの結論は出ていません。

 

⑲生後2週間から人工栄養(ミルク)を始めているとミルクアレルギーは起こしません。

 

⑳乳幼児の「いくらアレルギー」がとても増えています。
赤ちゃんにちょっとだけ周囲の人が「いくら」を与えると、アレルギーを起こしてしまう可能性があります。

 

21「そばアレルギー」はそばの粉を吸い込むとアレルギーを起こしてきます。

 

22「魚アレルギー」はちょっとずつ魚を食べてみるとアレルギーを起こさなくなります。
ただし魚そのものに手で触れないことが大切です。

 

23卵アレルギーで卵を除去しているお子さんには、卵ボーロをちょっとだけ食べて、症状が出なければ少しずつ食べる量を増やしていけば良いのです。

成人における食物アレルギーの実態 

国立病院機構 相模原病院
福富 友馬先生 講演会より

 

①成人では小麦アレルギーと果物アレルギーが合併することはありません。
 単独の食物アレルギーが多いのが特徴です。

 

②カバの木の花粉にはバラ・マメ・セリがあります。
 

 1.バラの花粉のアレルギーの人は、リンゴやサクランボ・モモ・梨・苺・びわに食物アレルギーを起こすことがあります。
 2.セリの花粉のアレルギーの人は、人参の食物アレルギーを起こすことがあります。
 

 

③成人の魚アレルギー

 1.魚の中にいるアニサキスという寄生虫が原因のことが多い傾向にあります。
  この場合にはもともと魚を食べていますが、それだけではアレルギーの症状はでません。

 2. 成人における純粋な魚アレルギーはとても少ないのです。
 

 3.魚のコラーゲンによる魚アレルギーはあります。
   例えば魚のコラーゲン入りクリームを顔に塗っていて、アレルギーが起こり瞼が腫れることがあります。

 

④果物野菜アレルギーの成人は花粉にも多数アレルギーを持っていることが多いです。

 

⑤小麦運動誘発性アナフィラキシー
  

 小麦を摂取(食べて)運動をした後に、蕁麻疹や血圧低下などのアナフィラキシーショックを起こすことがあります。

 

⑥小麦含有の石けんを使い始めますと、顔の皮膚から小麦の成分が吸収されて、アレルギーを起こして瞼が腫れてきます。
 これは女性に多くみられる小麦アレルギーで石けんの使用中止で症状は改善します。

食物アレルギーと気管支喘息

国立病院機構 相模原病院 海老原元宏先生講演会より

①食物アレルギーのお子さんの「ぜん息」合併率は高い傾向にあります。

 

②食物アレルギーにみられる赤ちゃんのアトピー性皮膚炎は、ぜん息発症の危険因子(リスクファクター)となります。

 

③ぜん息がありますと、食物アレルギーの重症化の危険因子(リスクファクター)となります。

 食物アレルギーによるアナフィラキシーショックで死亡したお子さんには「ぜん息」の合併症が多くみられます。

④アトピー性皮膚炎の治療をきちんとしておくと皮膚からの食物の侵入を抑えられるので、ぜん息の発作を抑えられる印象があります。

食物アレルギーに合併している「ぜん息」はきちんと治療しておくことが大切です。

⑤食物アレルギーで「ぜん息」を合併することが多いのは、牛乳アレルギーや卵アレルギー・小麦アレルギーのお子さんですが、この中でも牛乳アレルギーのお子さんの「ぜん息」の合併症が最も高い特徴があります。

 

⑥軽い食物アレルギーより重症な食物アレルギーの方が「ぜん息」の合併症が高くなります。

⑦アトピー性皮膚炎と食物アレルギーを合併していてまだ「ぜん息」になっていない1才未満のお子さんは、その後の「ぜん息」の発症率は20%と高く男の子に多くみられます。

 

⑧3才のお子さんの「ぜん息」の危険因子(リスクファクター)は、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーになります。

アナフィラキシーショック

① 私の息子が食物アレルギーによるアナフィラキシーショックを起こして救急車で病院に運ばれました。
彼は海外でホームステイしていましたので、私との連絡は携帯電話とメール、携帯電話の写真でした。

 

②アナフィラキシーというのは、何らかの食物を食べて起こすアレルギー症状で、主な症状はじんましんが出たり、症状が進むとまぶたや口唇や顔が腫れたり、皮ふが赤くなったりしてきます。
皮ふ症状は短時間で悪化していきます。
彼の場合、まぶたや口唇が腫れ、顔全体がむくんだように腫れあがりました。そのため目が開けにくくなりました。

 

③さらに症状が進むと、皮ふ以外の症状が加わります。
下痢や嘔吐、吐き気のようなお腹の症状が出たり、血圧の低下によるめまいや意識低下を起こしてきます。
このような状態をアナフィラキシーショックといって、重症の食物アレルギーの症状になります。
彼は下痢や吐き気、呼吸困難やめまいを起こしていました。症状が重く、救急車でスペインの病院へ運ばれました。
彼は小麦材料の食事のあとにイブプロフェンという鎮痛剤を飲んだところ、症状が出ています。
小麦アレルギーの素因を本来持っていて、鎮痛剤を服用したことで食物アレルギーが出たのではないかと思われます。
このように、食物を食べただけではアレルギーを起こさないのに、食物プラス一定のお薬とでアレルギーが起こることがあります。

 

④これらの症状の経過の写真を日を追ってホームページの「写真でわかるこどもの病気」に
掲載させていただきました。
どうぞ、この貴重な写真を是非とも参考にされて下さい。

 

⑤食物アレルギーは時として重症のアナフィラキシーやアナフィラキシーショックを起こすことがあります。
お子さんを持つお母さん方にお願いがあります。
もし、皆さんのお子さんが私の息子のように顔や瞼の腫れが短時間にみられた時には必ず救急車を呼び、病院へ急行してください。
息子は助かりましたが治療が遅れれば命にかかわります。

診断と治療の最新情報

藤田保健衛生大学 宇理須 厚雄先生講演会 より

*食物アレルギーの食品除去は、必要最低限にすることが大切です。

*食物アレルギーの原因食品でも「低アレルゲン化」されているものは食べることができます。

*食物アレルギーの原因食品でも、安全に食べることにより、耐性が生じてアレルギーを起こしにくくなります。

 

*小麦が入った石けんで顔を洗ったあとに運動したら、顔の発赤、腫脹といったアナフィラキシーショックを起こす事があります。

これを「小麦運動活発性アナフィラキシー」といいますが、血液の小麦アレルギー検査が陽性にならないことがありますので、注意が必要です。

 

*ピーナッツアレルギーがあるお子さんの「50%」はその他のマメ類にもアレルギーがあります。

 

*エビアレルギーでカニアレルギーのあるお子さんは「75%」です。

 

*何らかの魚アレルギーのあるお子さんでそれ以外の魚にもアレルギーがある方は「50%」くらいいます。

 

*小麦アレルギーで大麦アレルギーもあるお子さんは「20%」くらいいます。

 

*牛乳アレルギーで牛肉アレルギーもあるお子さんは「10%」くらいいます。

 

*牛乳アレルギーでヤギ乳アレルギーのあるお子さんは「92%」くらいいます。

 

*牛乳アレルギーで馬乳アレルギーのあるお子さんは「4%」くらいいます。

新生児・乳児のミルクアレルギー

~静岡県立こども病院  木村光明先生講演会より~

新生児・乳児のミルクアレルギーは・・・

*嘔吐、血便、下痢が主な症状ですが、中にはショック症状や発達障害、体重増加不良などを起こす事もあります。

 

*ミルクアレルギーのある赤ちゃんのほとんどが、生後1ヶ月以内に症状が起こります。
ミルクを開始してから消化管症状(嘔吐、下痢、血便など)が早期に出現しますが、ミルクを中止すると症状は消えます。

 

*原因食物は普通ミルク、大豆乳、母乳などのミルク類ですが、そのうち最も多いのが「普通ミルクによる牛乳アレルギー」です。

 

*ミルクアレルギーを発症した赤ちゃんは、その後に「アトピー性皮ふ炎」~「食物アレルギー」~「ぜんそく」~「スギ花粉症」の順に、他のアレルギーの病気を合併してくることが多い傾向があります。

食物アレルギーの診断と治療

~藤田保健衛生大学 宇理須先生 講演会より~

赤ちゃんで多数の食物アレルギーがある場合、

①まず、低アレルギーミルクを開始してみます。

②次に野菜を食べさせてみます。

③その次には動物性タンパク質(肉、魚)を食べさせてみます。

肉については、アレルギーの検査の値が高くても、食べられるようになるケースがほとんどです。

④食物アレルギーは0才の赤ちゃんに最も多い傾向がありますが、
多くのお子さんは自然に食物対しての耐性(慣れ)を獲得して、成長とともに食物アレルギーを卒業しています。

⑤まだ、小麦・卵・ミルクを食べていない時期に、これらの食物に対するアレルギー検査の値が高いケースでは食物アレルギーの症状が重症化しやすいので、食べるのは禁止(除去)します。
※除去食事療法といって消極的な食物アレルギーの治療法です。

⑥ピーナツ・木の実・ゴマ・イカやタコ・魚類・ソバは食物アレルギーの症状が重症化しやすいので、食べるのは禁止(除去)します。

⑦マグロアレルギーでは、ツナ缶の缶詰を少しずつ食べさせるとマグロアレルギーがおこりにくくなることがあります。
このようにアレルギーの原因の食物を少量ずつ食べるのを、経口免疫療法といって積極的な食物アレルギーの治療法となります。

小児アトピー性皮ふ炎の予防と食物制限

~国立成育医療センター大矢幸弘先生 講演会より

0才の時に湿疹があると、その後に食物アレルギーになる確率が高くなります。
(0才時の湿疹は食物アレルギーの危険因子になります。)
赤ちゃんの時の湿疹を早く治すことで、ヒフからのアレルギー(経皮感作)を予防することが出来るかもしれません。

 

ヒフから吸収されて起こるアレルギー(経皮感作)は食物アレルギーを促進し、逆に口から食物が入って起こるアレルギー(経口感作)は
食物アレルギーを緩和する傾向があります。
「経皮感作」をおこすとその後食物の摂取によって食物アレルギーを起こしますが、全てのお子さんがなる訳ではなく、食物の「経口感作」によって
食物アレルギーにならずにすむお子さんもいます。

 

妊娠中のお母さんの食物制限(卵、牛乳)は、生後12ケ月~18ケ月のお子さんのアトピー性皮ふ炎の発症への予防効果はありません。
それどころか、赤ちゃんの出生体重を約100g低下させてしまいます。
授乳中のお母さんの食事制限も同様に、お子さんへのアトピーの予防効果はありません。

 

「お子さん自身」に牛乳や卵などの離乳食の開始を遅らせても、牛乳や卵の食物アレルギーの発症を予防する効果はありません。
逆に、離乳食の開始が遅いほど、アトピー性皮ふ炎や気管支ぜん息の発症が多くなります。

 

生後5ヶ月~7ヶ月の早い時期に離乳食を開始すると、その後のアレルギーの病気の発症を予防する効果が期待できます。
例えば、ピーナッツアレルギーの有病率は、英国ではイスラエルの10倍になります。
イスラエルの子供は乳児期から早期にピーナッツを摂取していますが、英国の子供は逆に、遅い時期からピーナッツを摂取しています。

食物アレルギーの診断は?

①離乳食を始める前のお子さんに食物アレルギーの検査をして、卵が陽性に出たとしても、それだけで卵アレルギーと診断することはできません。
また、この結果を基にして、離乳食の初めから卵を食べさせないといった間違った食物制限をすることも必要ありません。
過度の食物制限をすると、栄養失調をおこしてしまう危険性もあるので、食物制限が本当に必要なのか正確に判断しなければいけません。

 

②血液検査で食物アレルギーの反応がみられないからといって「お子さんに食物アレルギーがない」とは言えない場合もあるので注意が必要です。

 

③1才未満のお子さんに食物アレルギーの原因食物を少量ずつ食べさせていると、1才過ぎからのアレルギーの症状を起こさないということも最近わかってきました。

 

④お母さんが妊娠中や授乳中に食物制限をしても、お子さんの食物アレルギーに影響を与えることはありません。
妊娠中も授乳中もお子さんの食物アレルギーを気にせず、食事は普通にしていただいて大丈夫です。

食物アレルギーの発症の原因

1)食物アレルギーの症状の80%はヒフの症状になり、次の4つの症状になります。
      a 湿疹 
      b じんましん
      c 血管性浮腫(口唇などが腫れる症状)
      d 潮紅 (ヒフ全体が真っ赤になる症状)

 

2)食物アレルギーを合併するアトピー性ヒフ炎のお子さんは、1才未満に最も多くみられます。
  食物アレルギーが小さいお子さんに多いのは、腸の構造と免疫機能が未熟なことが原因です。

 

3)正常なヒフであれば、水分が充分に保たれて外からの刺激を防ぐことができます。
  しかしアトピー性ヒフ炎のようにドライスキンですと、ヒフの水分量が低下しているので外からの刺激が入りやすかったり、
  アレルギーの原因になる食物がヒフに付着した時にヒフの傷口から体内に侵入したりします。
  アトピー性皮膚炎と食物アレルギーとの合併では、このようにヒフからアレルギーの原因物質が入り込んでいくことで食物アレルギーがおこってくるのです。

 

  アトピー性ヒフ炎をきちんと治療してヒフの症状を良くすることで、上記のようなヒフからの吸収によって起こる食物アレルギーを防ぐことができるのです。

 

4)赤ちゃんのアトピー性ヒフ炎で、口の周囲にできる接触性ヒフ炎(かぶれ)は、食前にプロぺトやワセリンなどの保湿剤を口の周囲に広めにぬっておくと予防することができます。

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