診療案内

アナフィラキシーショック

国立病院機構相模原病院 海老澤元宏先生講演会より

①アナフィラキシーの原因としては小麦や乳製品が多く見られます。

 

②アナフィラキシーの初期治療として、呼吸や心拍や意識などのバイタルサインのチェックが重要です。

 

③さらに大切なことはアナフィラキシーをおこしたお子さんは、仰臥位(あお向けに寝かせる状態)で下肢を拳上して、心臓の負担を軽くして頭に血液が回るようにすることです。
アナフィラキシーをおこしたお子さんはあお向けに横に寝かせて、足を拳上しておくのが良いでしょう。

 

④重篤なアナフィラキシーでは95%に皮膚症状を合併しています。

 

⑤~エピペンについて~
 1)アナフィラキシーをおこした場合には、抗ヒスタミン剤の内服は効果が出るまでに1時間と長く、ステロイドの内服については2時間とさらに長くかかってしまいますので、30分以内に効果が出るエピペンが最も良い治療となります。
 

2)エピペンは血管収縮、心機能亢進、気管支弛緩、腸管弛緩の作用が見られますので、血管を収縮して下がった血圧を上昇させて、低下した心機能を回復させます。さらに収縮した気管支を拡張させてぜん息の症状を改善して、収縮した腸管を弛緩(緩める)させて嘔吐や、腹痛などの消化器の症状を改善させてくれるのです。
 

3)エピペンの有害事象は含まれているアドレナリンによるもので(例えば動悸)重篤なものはなく15分以内に回復しています。

⑥赤ちゃんの時はアトピー性皮膚炎と食物アレルギーが合併していることが多いですが、学童児になりますとお互いに合併せずに別々の病気になっていることが多く、これが赤ちゃんと学童児の食物アレルギーの違いです。

⑦ロタウイルス感染症で胃腸炎をおこしますと、腸の透過性が亢進しますので、普段食物アレルギーをおこさないお子さんが食物アレルギーをおこすことがあります。

⑧アナフィラキシーを誘発する因子があります。これらの因子によるアナフィラキシーの誘発を防ぐため、例えばぜん息の治療をしっかり行ったり、疲れをためこまないように休息をとるのもよいでしょう。
 1)ぜん息の合併
 2)非ステロイド系の領痛剤の内服
 3)運動
 4)疲労
 5)ストレス
 6)入浴

アトピー性皮膚炎アトピー性皮膚炎治療のエンドポイント

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国立三重病院 藤澤隆夫先生講演会より

①アトピー性皮膚炎は生活の質を著しく低下させてしまいます。
 1)強いかゆみは~
  不眠をおこします。
  落ち着きがなくなります。
  勉強に集中できないお子さんになります。
 2)外見上の問題が~
  外見が気になって外出が出来ないことがあります。
  友達からいじめられることがあります。

②生後4ヶ月(乳児期)発症のアトピー性皮膚炎と3才以降発症のアトピー性皮膚炎は異なります。

③アトピー性皮膚炎の重症度と血液検査のTARC値は相関があります。
 1)重症のアトピー性皮膚炎ではTARC値が高くなります。
 2)アトピー性皮膚炎を治療する前と治療した後で比較しますと、治療前に高かったTARC値は治療後には下がっていますので治療の効果として良い指標となります。

 

④赤ちゃんのアトピー性皮膚炎で血液検査をしてみますと食物アレルギーを示すお子さんが多くみられますが、実際には食物アレルギーの症状は出ていないお子さんがほとんどです。

 

⑤1歳未満の小児の重症のアトピー性皮膚炎では栄養状態が良くなくて低アルブミン血症を起こしやすいのですが、このような赤ちゃんに皮膚をきちんと治すだけで低アルブミン血症が改善して栄養状態が良くなります。

 

⑥小児のアトピー性皮膚炎では誤った民間治療やアトピービジネスが最も危険です。正しい治療が重要です。

 

⑦アトピー性皮膚炎では皮膚は必ず良くなりますので少し良くなったからといって途中で塗るのを止めてしまうのはリバウンド(アトピー性皮膚炎の再燃)の大きな原因になります。

 

⑧アトピー性皮膚炎の火事が大きな時には消防車並みのステロイドの塗り薬を使い、小さなたき火くらいの時にはバケツの水くらいのステロイドの塗り薬とを使うと良いのです。

 

⑨プロトピック軟膏を使った時のピリピリとした刺激感を減らせる対策としては
 1)プロトピック軟膏を塗る皮膚の部分に前もって十分の保湿剤を塗って、その上からプロトピック軟膏を塗ると良いです。
 2)プロトピック軟膏を塗る皮膚の部分にステロイドの塗り薬で、しっかりと治療をして皮膚がきれいな状態になってからプロトピック軟膏を塗ると良いです。

 

⑩非ステロイド系抗炎症薬(塗り薬)は
 1)抗炎症作用は極めて弱く塗りますと接触性皮膚炎(カブし)を起こりやすい傾向があります。 
 2)非ステロイド系抗炎症薬は、アトピー性皮膚炎の標準治療ではなく、間違った治療になります。お母さんが非ステロイド系抗炎症薬の方がアトピー性皮膚炎に良いというのは誤解です。

 

⑪休憩時間は出来るだけ日陰で過ごし、必要ならば日焼け止めを塗ってお肌を守りましょう。

 

⑫汗はアトピー性皮膚炎の悪化因子ですので汗をかいたらシャワーで流しましょう。

⑬アトピー性皮膚炎があっても普通の生活をすることが治療の目標です。副作用のない治療で快適な生活、かゆみでつらい生活をしない学校生活を普通に出来ることが目標なのです。

アトピー性皮膚炎のスキンケアと外用療法

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杏林大学医学部 塩原哲夫先生講演会より

1.アトピー性皮膚炎のお子さんは「秋」に生まれたお子さんが多い傾向にあります。

2.何故アトピー性皮膚炎が増えたのでしょう。それは「汗」をかく機会が減ったためです。

3.汗腺(汗を分泌する組織)2才半までに出来上がります。

4.お子さんの方が大人の人より汗っかきです。

5.最近のお子さんは全身の汗をかくことが減り、逆に手のひらに汗をかくことが増えています。

6.皮膚の一番表面の角層という部分に、いかに水分をためておけるかがスキンケアのコツになります。

7.野外での夏期の相対湿度の低下と冷暖房の普及が角層内水分量の低下になり、お肌が乾燥してくるのです。
昔は野外は暑く湿度も高く冷房の設備もなかったので、一杯汗をかく機会があったのです。

8.保湿剤(ヒルドイド)を乾燥した皮膚に塗りますと角層内水分量が増加します。

9.ステロイドの外用剤を乾燥した皮膚に塗りますと角層内水分量が低下します。

10.「汗」をかきますと、角層内水分量が増加します。

11.角層内水分量を低下させる薬剤として抗ヒスタミン薬や抗うつ剤があります。

12.「汗」の中には抗菌物質が複数入っています。この抗菌物質の中には皮膚の善玉菌はやっつけないで悪玉菌をやっつけてくれる働きがあります。
ですので発汗が減少しますと抗菌作用が低下しますので「とびひ」や「カポジ水痘様発疹症」などの皮膚の感染症を起こしやすくなるのです。

13.運動をしますと汗をかきますので角層内水分量が増えますので、この状態で保湿剤(ヒルドイド)をぬりますと更に角層内水分量が増加します。

14.プロトピック軟膏はステロイドの外用薬と違ってぬりましても角層内水分量はあまり下がりません。

15.アトピー性皮膚炎では発汗反応が低下していますので、アトピーの発疹のあるところでも発疹がないところでも皮膚に汗をかかない特徴があります。

16.アトピー性皮膚炎では汗をかかせた方が良いのです。

17.アトピー性皮膚炎では発汗の減少により角層内水分量が減少して炎症が起こしてくるのです。

18.保湿剤(ヒルドイド)は発汗反応を改善させます。保湿剤(ヒルドイド)をぬったところは発汗が促進されます。ステロイドの外用をぬったところは発汗が低下します。

19.全身のバランスの良い発汗が大切です。アトピー性皮膚炎では暑い環境にいても汗をかきませんので暑い環境が苦手です。

20.アトピー性皮膚炎では全体の発汗量がとても低下しています。

21.保湿剤のヒルドイドは発汗を亢進させますが、ワセリンは逆に発汗を低下させます。

22.汗をかくには、冷房はあまりつけない方が良いことになります。

23.次の3点がありますとアトピー性皮膚炎になりやすくなります。

 1)学生時代に激しいスポーツをしていた人が急にスポーツをやめた場合
 2)入浴を止めてシャワーのみにするようになった場合
 3)ナイロンタオルで皮膚をこする場合

24.成人の難治性皮膚疾患では一保湿剤のヒルドイドソフトを25g(1本)/日と大量に使用しますと皮膚の状態が改善してきます。この場合にたっぷりと厚く塗って、その上からサランラップでおおってヒルドイドがとれないようにすることが大切です。ヒルドイドソフトは、お風呂を出でから直後に塗ると良いでしょう。

25.保湿剤はジェネリックのものでは角質水分量の増加がほとんど見られず効果がありませんので注意が必要です。

26.保湿剤は皮膚部(発疹のある部分)以外にも使用することが大切で厚くたっぷりと、たくさんぬると良いでしょう。

27.シャワー浴より入浴のが角質内水分量にとっては良いことになります。

28.プロトピック軟膏はステロイドの外用薬と異なって皮膚を乾燥させることはありません。皮膚の発汗低下が皮膚を乾燥させる最大の原因です。

29.赤ちゃんのアトピー性皮膚炎ではオムツのところには発疹があまりできません。これはオムツをしている部分は発汗が亢進しているので乾燥しないからです。

30.アトピー性皮膚炎で感染を起こした時はステロイドの塗り薬を使用した方が感染の原因の細菌の減少が抗生剤のぬり薬より速い場合があります。

アトピー性皮膚炎の治療

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福井大学 大嶋勇成先生講演会より

①誤った食事制限は栄養摂取不足や偏りが生じます。例えばミルクアレルギーで抗アレルギーミルクを飲んでいて湿疹になった場合は抗アレルギーミルクは栄養成分の一つであるビオチンがないこともありビオチン欠乏症をおこして湿疹が治らないケースがあります。この場合は塗り薬ではなくビオチンを内服すれば良くなります。

②アトピー性皮膚炎と思ってアトピー性皮膚炎の治療をしていて良くならなければWAS(ウィスコットアルトリット症候群)のような免疫不全症による湿疹を考えて、その治療をしないと良くなりません。WASは新生児で血小板が低値で湿疹がある事が特徴で骨髄移植が治療法になります。

③アトピー性皮膚炎のように思えてもアトピー性皮膚炎の治療をして良くならない時には他の病気を考えて、原因を探して、それを治療することが大切です。

④アトピー性皮膚炎では湿疹部分からの組織液の漏出があるために低タンパク血症や低ナトリウム血症をおこしてきます。

⑤アトピー性皮膚炎の症状は「ぜん息発症」の危険因子となります、ダニアレルギーがあり皮膚症状が良くないと、この傾向は著明です。

⑥抗ヒスタミン薬の「アレロック」には皮膚のバリアキノウ障害の改善効果があります。

⑦ダニアレルギーのお子さんでは抗ヒスタミン薬の「ジルテック」投与により、アトピー性皮膚炎のお子さんの「ぜん息発症」の予防効果があります。

⑧ダニアレルギーがあるお子さんが、お肌が早期にいろいろな抗原にさらされてしまうと「ぜん息」への移行が多いので早期にアトピー性皮膚炎を治療してお肌を良くすることが大切です。

⑨お子さんの「アトピー性皮膚炎」と「ぜん息」の合併している患者さんにプロトピック外用療法を行ない「アトピー性皮膚炎」の症状を良くしますと「ぜん息」の症状も良くなります。

⑩乳児の湿疹による睡眠障害は、10才児の時の精神症状影響が出ます。

⑪学童期は、かゆみ止めのためにボーとして勉強に集中できない面がアトピー性皮膚炎で多くみられます。大切な事はスキンケアと外用剤と非鎮静性の抗ヒスタミン剤(眠気のおこらない内服のかゆみ止め)を使うことです。

⑫未熟児に保湿剤を使用しますと皮膚の炎症を予防することが出来ます。(早期の保湿剤の開始はアトピー性皮膚炎を防げる可能性があるのです。)

アトピー性皮膚炎の病態とかゆみ治療

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東京大学 佐藤 伸一先生講演会より

①アトピー性皮膚炎は「フィラグリン」の機能異常によっておこる皮膚のバリア異常が原因です。

②フィラグリンの機能として

 1)皮膚の表皮細胞を平坦化して皮膚を守ります。
   (バリア機能をつかさどっています。)

 2)天然の保湿因子でもあります。

 

③日本人のアトピー性皮膚炎の20%以上でフィラグリン遺伝子異常が認められます。

 

④フィラグリン遺伝子の異常がみられますと、皮膚のバリア機能障害が誘発されます。

 

⑤皮膚のバリア機能異常がありますと、皮膚が外来アレルゲン(例えば食物・ダニなど)に対して何度も暴露されますので、Th2のアレルギー反応にシフトします。

 

⑥Th2アレルギー反応にシフトしますと、表皮の湿疹に変化が誘導されて、さらに血液中のアレルギーの数値を示すIgE抗体が増加していきます。

 

⑦Th2のアレルギーにシフトしますと、フィラグリン発現の低下がおこり皮膚の障害がおこります。

 

⑧アレロックはその他の抗ヒスタミン剤に比べて、発疹を抑制する効果が高い特徴があります。

 

⑨ぬり薬単独使用ですと「かゆみ」の再発がありますが、「ぬり薬」や「アレロックの内服」ですと「かゆみ」の再発率が低下します。

 

⑩「かゆみ」のない時でもアレロックの内服をしていますと、「かゆみ」が抑制されます。

 

⑪アレロックは短期の一時的な内服より、長期の連続内服の方が「かゆみ」に効果があります。

 

⑫アレロックは抗炎症作用が最も強い抗ヒスタミン剤です。アトピー性皮膚炎は皮膚の炎症ですのでこれを改善してくれます。

 

⑬アレロックは抗ヒスタミン剤によくみられる「仕事や勉強の機能が低下するインペアードパフォーマンス」が最も少ない抗ヒスタミン剤です。

⑭小児においてアレロックが最も効果がある抗ヒスタミン剤と言えます。

アトピー性皮膚炎

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近年特に増加しているアレルギーの病気です。
症状は早い時には1~3ヶ月の、生まれて間もない赤ちゃんからみられます。
かさかさした肌で赤ちゃんのようなすべすべしたきれいな肌でないのが特徴です。

よくお母さん方は「乳児湿疹がなかなか治らない」と言って来院されますが、その多くはアトピー性皮膚炎なのです。

適切な治療をきちっとおこなえば赤ちゃんのアトピーは早く治すことが出来るのです。

皮膚外用剤の正しい使い方

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「皮膚外用剤の正しい使い方」
東京逓信病院薬剤部 大谷直輝先生講演会より

①保湿剤は、「小児のアトピー性皮膚炎」では入浴直後にぬった場合と30分後にぬった場合で比較しても保湿剤の効果は同じです。 また、入浴直後1分後にぬった場合と1時間後にぬった場合を比較しても保湿剤の効果は同じです。 入浴直後にぬり忘れても時間が経過してからぬっても保湿剤の効果はありますのでお風呂のあとは保湿剤をぬりましょう。

②保湿剤はたっぷりと優しく擦り込むようにお肌のしわにそってぬるのが良いでしょう。

③「アトピー性皮膚炎」では、保湿剤は1日2回ぬりましょう。
例えば、ヒルロイドローションは1日2回ぬった方が1日1回ぬった場合よりも、2.5倍の保湿効果が高まります。

④「乾燥皮膚」では、ヒルドイドソフト軟膏よりもヒルドイドローションの方がより有効です。

皮膚外用剤の正しい使い方

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「皮膚外用剤の正しい使い方」
東京逓信病院薬剤部 大谷直輝先生講演会より

①保湿剤は、「小児のアトピー性皮膚炎」では入浴直後にぬった場合と30分後にぬった場合で比較しても保湿剤の効果は同じです。 また、入浴直後1分後にぬった場合と1時間後にぬった場合を比較しても保湿剤の効果は同じです。 入浴直後にぬり忘れても時間が経過してからぬっても保湿剤の効果はありますのでお風呂のあとは保湿剤をぬりましょう。

②保湿剤はたっぷりと優しく擦り込むようにお肌のしわにそってぬるのが良いでしょう。

③「アトピー性皮膚炎」では、保湿剤は1日2回ぬりましょう。
例えば、ヒルロイドローションは1日2回ぬった方が1日1回ぬった場合よりも、2.5倍の保湿効果が高まります。

④「乾燥皮膚」では、ヒルドイドソフト軟膏よりもヒルドイドローションの方がより有効です。

アナフィラキシーの対応 

国立病院機構 相模原病院 海老澤元宏先生講演会より

1.食物アレルギーのでおこるアナフィラキシーの原因として日本では
 ①お子さんでは「卵」「牛乳」「小麦」が多くみられます。
 ②大人では「魚」「ソバ」「小麦」が多くみられます。
 ③食物アレルギーのアナフィラキシーの症状としては、皮ふに重症の蕁麻疹が多発したり、
  顔や瞼が腫れてむくんだり、ぜん息発作をおこして呼吸困難となったりします。

 

2.食物アレルギーのアナフィラキシーショックによるお子さんの死亡例

 ①日本では「エビ」「ソバ」「魚」「チョコレート」によるものがあります。
 ②アメリカでは「ピーナッツ」「木の実」によるものがあります。
 ③英国では「ピーナッツ」「ナッツ」「牛乳」によるものがあります。

 

3.ソバアレルギーのあるお子さんにはソバがらの枕はすすめられません。
  ぜん息発作を起こす可能性があります。

 

4.日本のお子さんのアナフィラキシーは0.14%の頻度でみられます。

 

5.アナフィラキシーの最も多い原因は食物です。

原因順として
 ①食物
 ②薬剤
 ③虫刺
 ④特発性
 ⑤運動誘発

6.虫刺によるアナフィラキシーは「蜂」のアナフィラキシーです。

 

7.薬剤によるアナフィラキシー

 ①アスピリン
 ②非ステロイド系鎮痛剤
 ③造影剤
 ④輸血

8.接触によるアナフィラキシー

 ①ラッテクスの手袋やコンドームのラッテクスアレルギーがあります。
 ②日本では小麦の入った石けんで顔を洗った後に、アナフィラキシーをおこした
   ケースが増えています。(特に女性が多いです。)

 

9.運動誘発性アナフィラキシー

 ①小麦やセロリ・ピーナッツを食べて運動をした後にアナフィラキシーがおこるものです。
  (食物を食べただけではアナフィラキシーをおこさず、運動をした後に
   アナフィラキシーがおこるものです。)

 

 ②ぜん息の合併が多くみられます。

 

 ③咽頭や喉頭がむくんでしまうために、呼吸困難となります。

 ④日本では「小麦」によるものが多いです。

 ⑤10才~20才の若い年齢で運動量の活発な年齢に多くみられます。

10.日本のアナフィラキシーの「死亡」のお子さんは「蜂」が1位で
   「食物」が2位の原因としてみられています。

 

11.アナフィラキシーはエピペンの注射で救急することが最も大切です。

 

12.エピペンはアナフィラキシー症状の早期に使用することがとても大切で、
   アナフィラキシーが重症化して意識がなくなったり、血圧が下がったりしてから
   使用するのは遅いのです。
   このことはアナフィラキシーのお子さんとその家族だけではなく、
   医師にもその認識が必要です。

 

13.日本のお子さん(4才)でチョコレートのアナフィラキシーをおこして病院に運ばれた
   ケースでは、エピペン(エピネフリン)の投与は症状が発症してから「35分」も経過
   していました。
   エピペンはアナフィラキシー症状の早期に使用しませんと、効果はありません。

 

14.エピペン

 ①アナフィラキシーの症状が出てから30分以内に使用することが重要です。
  エピペンの使用は早ければ早いほど良いことになります。

 ②食物によるアナフィラキシーにはエピペン(0.15㎎)を使われることが多いです。

 ③「蜂」の虫刺によるアナフィラキシーにはエピペン(0.3㎎)を使われることが多いです。

 ④実際の使用率は日本では0.41%~0.88%とまだ低い状況です。

 ⑤有害事象の発生頻度
  エピペン(0.15㎎)1.6%・エピペン(0.3㎎)0.84%ととても低いものです。
  ほとんどの有害事象は自然に改善していきます。

 ⑥過去に重症のアナフィラキシーをおこしたお子さんではアナフィラキシー症状の早期に
  使うことが重要です。
  エピペンを使ってアナフィラキシーの重症化を防ぐことが大切です。

 ⑦「蜂」のアナフィラキシーは発症後5分以内・「食物」のアナフィラキシーは30分以内に
   おこる傾向がありますので、できるだけ症状の早期にエピペンを使いましょう。

食物アレルギーの検査

イムファストチェックJ2を始めました。

(卵白・牛乳・小麦)のアレルギーの検査が簡単にできます。

¥2700の実費が別途かかります。

ご希望の方はお電話または受付でお問い合わせください。

 

 

『食物アレルギーとアナフィラキシー』

『食物アレルギーとアナフィラキシー』

                     昭和大学医学部小児科学 今井孝成先生講演会

 

①エピペンの適応があるのは次のお子さんです

1)アナフィラキシーの既往のあるお子さん

2)重症気管支喘息に合併した食物アレルギーのお子さん

3)食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)のお子さん

4)ピーナッツ、木の実(クルミetc)、蕎麦のアレルギーのあるお子さん

5)微量の摂取で誘発される食物アレルギーのお子さん

6)特異的IgE高値の食物アレルギーのお子さん

7)ハイリスク児(医療事情の悪い所に行ったり住んだりする場合)

 

②エピペンとアナフィラキシー

1)エピペンの処方数の限界はありません。(厚労省)

2)アナフィラキシーに罹患した全てのお子さんは、

エピペンを2本持っているべきです

3)アナフィラキシーをおこしたお子さんで循環症状のみられたお子さんは

エピペンを複数回投与する例が多く見られます。

また、初回のアナフィラキシーに循環器症状がみられてエピペンを投与し

お子さんは2回目のエピペンを使用する確率が高い傾向にあります。

 

③エピペンを打つタイミング

1)アナフィラキシーで最も出現しやすい皮膚粘膜の症状で命を落とす事は

ありませんが、呼吸器、消化器、循環器の症状がみられたらエピペンを

投与すべきです。

アナフィラキシーでエピペンを打つかどうか迷ったらすぐに打ちましょう。

2)次のような症状がみられる時はエピペンを打ちましょう。

A:持続する強い腹痛

B:繰り返す嘔吐

C:持続する強い咳き込み

D:喘息、呼吸困難、チアノーゼ、呼吸停止、嗄声

E:胸をしめつけられる感じ。嚥下困難

F:血圧の低下

G:ぐったりしている、不穏、失禁、意識喪失(急に寝入っているのは注意が必要)

H:興奮、活動性低下

I :末消循環不全(冷感)

J:呼吸器症状を伴わない酸素飽和度の低下

K:排尿や排便をしたがる(トイレに行きたがる)

L:β2吸入後の残存する喘鳴

3)エピペンは万能ではありません。アナフィラキシーでエピペンを打っても

症状の改善しない場合は酸素投与と輸液になります。

4)エピペンを打ってもお子さんが亡くなることはありません。

打たないと亡くなってしまうかもしれません。

エピペンを打って亡くなったお子さんはいません。

5)エピペンの副反応で、振戦(手の震え)、動悸、不安などがありますが、

エピペンを打つメリットの方がはるかに大きいのです。

6)上気通閉塞の強いお子さんに対しても、β吸入よりエピペンの方が

効くことがあります。

 

④エピペンの使い方

1)安全キャップをはずす

2)適切な場所を選ぶ

3)注射をする

4)保持する(注射後5秒以上静止が必要)

5)普段からエピペンの打ち方の練習をしていると打つ方が正しくなります。

6)エピペンを処置したお子さんは2次医療の病院に搬送することが大切です。

エピペンの効果が切れてくる頃に症状が再燃することがあるからです。

 

 

 

「経皮感作とアレルギーマーチの最新の話題」

経皮感作とアレルギーマーチの最新の話題

国立成育医療センター・アレルギーセンター

大矢幸弘先生

①妊娠中や授乳中のお母さんが食物制限を行ってもお子さんのアトピー性皮膚炎を予防することは出来ません。

 

②離乳食の開始が遅いお子さんはアトピー性皮膚炎や反復性喘鳴や抗原感作が増えます。

 

③加熱した卵の摂取開始が遅いお子さんほど卵アレルギーが増えます。

 

④湿疹のあるアレルギーのハイリスクのお子さんは早期からピーナッツを食べ始めた方が遅く食べ始めた方に比べてピーナッツアレルギーが少ない傾向があります。

 

⑤食物アレルギーの予防は摂取回避(その食物を食べないこと)では予防は出来ません。

 

⑥経皮感作は食物アレルギーが起きやすく、経口感作では食物アレルギーが起きにくい傾向があります。

 

⑦赤ちゃんに生後3ケ月からピーナッツオイルを塗るとピーナッツアレルギーを起こしやすくなります。これは経皮感作です。

 

⑧アトピー性皮膚炎の発症は、食物アレルギーの危険因子です。

特に生後1~4ケ月の湿疹を発症した赤ちゃんは3歳児の時点での食物アレルギーの発症が高くなります。

 

⑨乳児期のアトピー性皮膚炎は、その後に起こってくるアレルギーマーチのリスクファクターになります。これは、アトピー性皮膚炎があると経皮感作を受けやすいからです。

 

⑩湿疹(皮膚炎)いよるバリア機能の低下ありますと湿疹(炎症部位)から抗原が体内に侵入して、経皮感作が起こり、体の中に抗体が出来てきます。

 

⑪炎症のある部位から抗原が体内に入りますと経皮感作ですのでアレルギーが起こります。炎症の無い部位から抗原が体内に入りましてもアレルギーは起こらず、寛容となります。

 

⑫お子さんが生活している場所には、アレルギーの原因である抗原がたくさんみられていて、その結果、経皮感作が起きてきます。例えばリビングの床に卵などの食べこぼしがありますと、遊んでいるうちに経皮感作が起こります。

口から食べた場合の方がアレルギーのは起きにくいことになります。

 

⑬未就学児のアトピー性皮膚炎が抗原感作(経皮感作)のリスクファクターになります。

 

⑭乳児期発症のアトピー性皮膚炎は、6才の時点での食物アレルギーの発症率が高くなります。

 

⑮乳幼児期に抗原の経皮感作を受けていますと、10歳~12歳の時点の気管支喘息のリスクファクターとなります。

重症アトピー性皮膚炎では呼吸機能の低下と重症化を起こしてきます。

早期発症のアトピー性皮膚炎は気管支喘息のリスクファクターです。

 

⑯1歳の時のアトピー性皮膚炎と抗原経皮感作は3歳の時のアレルギー疾患のリスクファクターとなります。

 

⑰1歳の時に抗原感作を受けていないアトピー性皮膚炎は3歳の時点での気管支喘息のリスクファクターにはなりませんが、アレルギー性鼻炎のリスクファクターになります。

 

 

以上のように乳幼児期のアトピー性皮膚はその後の食物アレルギーや気管支喘息などのアレルギーへとつながります。

 

 

「アレルギー疾患発症予防に関するエビデンス」

「アレルギー疾患発症予防に関するエビデンス」

国立医療センター アレルギー科 大矢幸弘先生講演会

 

①妊娠中や授乳中の母親の食物制限はお子さんのアトピー性皮膚炎の発症を予防することは出来ません。

 

②ピーナッツの摂取を乳幼児期から開始する群とピーナッツを5才まで食べない群で比較するとピーナッツの摂取を乳幼児期から開始する群の方が、5才児でのピーナッツアレルギーが少なかったという結果がみられました。

これは、ピーナッツを全く食べなくてもピーナッツアレルギーの予防は出来ないことを示しています。それどころか、ピーナッツを食べない方がピーナッツアレルギーのリスクが高くなります。

ピーナッツの摂取を乳幼児期から開始する群に5才児からピーナッツを除去してもピーナッツアレルギーは少なかったのです。

 

③生後6ケ月までに卵を始めた群は生後12ケ月まで卵を除去した群とでは生後6ケ月までに卵を始めた群の方が卵アレルギーを抑制することが出来ます。この時の必要条件は、皮膚の状態を良い状態にしておくことと、卵を少しづつ与えることがキーポイントとなります。食物抗原を回避しても食物のアレルギーの発症を予防することは出来ません。

 

④新生児に保湿剤を塗布することで、アトピー性皮膚炎の発症率を約半分に抑制することが出来ました。生後1週間未満の新生児から保湿剤を使用したスキンケアを予防的に行うことで、アトピー性皮膚炎の発症予防効果が得られます。早期治療介入群はアトピー性皮膚炎の発症を予防できます。

 

⑤アトピー性皮膚炎の患者さんは有意に卵白の感作率が高くみられます。

 

⑥生後3ヶ月の時にアトピー性皮膚炎がありますと、食物抗原に感作を受ける可能性が高くなります。

 

⑦出生早期の表皮バリアが低いほど2才児の時の食物アレルギーのリスクが高くなります。

 

⑧アトピー性皮膚炎は食物アレルギーのリスクファクターです。アトピー性皮膚炎の発症が食物アレルギーの発症よりも先行して発症します。

 

⑨生後1~4ヶ月の湿疹発症が3才の時の食物アレルギーの危険因子になります。より早く生後1~2ヶ月で湿疹を発症している児の方が食物アレルギーの発症リスクとなります。

 

⑩乳児の遊び場と寝室からピーナッツタンパクが検出されます。普通の家庭のダニを集めると100%卵の製粉が検出されます。赤ちゃんは床をハイハイするので感作されやすいのです。

 

⑪Proactive療法を維持した方が食物アレルギーの発症を抑えることが出来ます。例え、食物アレルギーを発症していてもProactive療法で皮膚をきれいにしておきますと食物アレルギーを抑えることが出来ます。Proactive療法はダニの感作を阻止出来ますがProactive療法では阻止出来ません。

 

⑫アレルギーマーチを阻止するには、アトピー性皮膚炎、乳児湿疹を早期にかつProactive療法で治療した方が良さそうです。皮膚がきれいになってもスキンケアが大切です。

 

⑬石鹸で治ったら必ず保湿剤をぬることが大切です。

魚アレルギー診療におけるQ&A

魚アレルギー診療におけるQ&A

 藤田保健衛生大学 坂本種報徳会病院 小児科  近藤康人先生講演会

 

①ヒスタミン中毒

 魚が死にますと魚の体の中にヒスタミンが増えて、このヒスタミンは加熱しても減りません。

 赤身の魚にヒスタミンは多く含まれます。

 白身の魚にヒスタミンは少なく含まれます。

 ヒスタミンを多量に含む魚を食べますとアレルギー(ヒスタミン中毒)が起こります。

 

②アニサキスアレルギー(アニサキス症)

 お寿司屋さんで「マグロ」「サバ」を食べて2~3週間後にアレルギーが起こります。

 アニサキスは魚の体の中にいる寄生虫で加熱に弱い特徴があります。

 魚が死んだら内臓をすぐに除去するかのがアニサキスアレルギーの予防になります。

 アニサキス症の特徴は激しい上腹部痛と嘔吐です。

 

③非IgE依存症の魚アレルギー

 食後30分~2時間に起こります。

 1才前後の乳児が多いです。

 アニサキスは(-)です。

 

④魚アレルギー

 1)幼児に発症することが多くみられます。

 2)魚を食べて「蕁麻疹」が出ます。

 3)魚アレルギーは成人になるまで治りにくいのが特徴です。

 4)最も多い魚アレルギーは「サケ」であって「サバ」ではありません。

 5)魚アレルギーは2種以上の魚にアレルギーが多くみられます。

 6)魚アレルギーは「サケ」「タラ」「タイ」が多くみられます。

 7)魚アレルギーの85%は「カジキ」や「ツナ缶」は食べられることが多いです。「ツナ缶」は「汁」ではなく「魚肉」を食べるのがポイントです。

 8)アトピー性皮膚炎の患者さんは魚を直接手で触らない方が良いでしょう。

 9)魚アレルギーの患者さんが別の魚を食べた時にアレルギーを起こす確率は50%くらいあります。

 10)魚アレルギーの治療は「サケのフレーク」を少しずつ与える方法があります。

 11)水溶性アレルゲンコンポーネット:パルブアルブミン(PA)

    「PA」はほぼ全ての魚に含まれている魚アレルギーの原因物質です。

    「PA」は魚種間で含有量に差がみられます。

    魚は「βPA」、カエルは「αPA」を持っています。

    もし、魚アレルギーの患者さんがカエルを食べて良いかと聞かれた時

    はアレルギーをおこすことがあるので食べない方が良いでしょう。

「食物アレルギーについて~診療の実際~」

「食物アレルギーについて~診療の実際~」

千葉愛友会記念病院 小児科 根津櫻子先生講演会より

 

①エビやカニにアレルギーがあるお子さんは、タコやイカにもアレルギーがあります。

 

②花粉症のあるお子さんは、果物アレルギーをおこすことがあります。

 

③IgE抗体価が変わらなくても、成長とともに食物アレルギーの症状が出る確率は高くなります。

 

④卵アレルギーでは、生卵が摂取出来なくても加熱卵であれば摂取出来る可能性があります。

オボムユイドは卵白の主要構成タンパク質の一つで熱や消化酵素の作用によってもアレルゲンとしての性質が失われにくいとされています。

卵白のIgE値が高くてもオボムユイドのIgE値が「0」であれば加熱した卵は食べても大丈夫です。

 

⑤ピーナッツアレルギーのIgE値が高くても、ピーナッツの主要タンパク質の一つで加熱耐性が高く、アナフィラキシーを起こしやすいArah2のIgE値が低ければアナフィラキシーは起こしにくいことになります。

 

⑥食物除去試験

ステロイドの外用で治療しても治りにくいアトピー性皮膚炎が対象になります。

この場合は児だけでなく、母乳のお母さんの食べるものも制限が必要になります。

 

⑦入園、入学前には、RAST陽性で今まで一度も食べたことがない食物について、負荷試験をして確認をしておくことが必要です。

 

⑧妊娠中、授乳中に、赤ちゃんのアレルギー発症予防のために母親が食物制限を行うことは必要ありません。

 

⑨赤ちゃんのアレルギー発症予防のために、離乳食の開始を遅らせることは必要ありません。

 

⑩アナフィラキシーの特効薬はエピペンです。

 

⑪喘息の存在はアナフィラキシーの重篤化の危険因子なので、食物アレルギーのお子さんでは喘息のコントロールを十分にしておくことが大切です。

「食物アレルギーの最新の対応」

「食物アレルギーの最新の対応」
国立病院機構相模原病院
臨床研究センター アレルギー性疾患研究部長
海老澤元宏先生 講演会

 

①口腔アレルギー症候群(果物アレルギー)は、口腔粘膜由来のアレルギーです。

 

②食物アレルギーは小腸経由のアレルギーです。

 

③平成16年~平成25年で 食物アレルギーは2倍に、アナフィラキシーは4倍に増えました。

 

④卵、ミルク、小麦が食物アレルギーの3大アレルゲンです。

 

⑤成人になっておきる小麦アレルギーは運動誘発性のものが多いですが、小児におこる小麦アレルギーは運動誘発性のものはありません。

 

⑥食物アレルギーでは、連続する咳や喘息の呼吸器症状は「アナフィラキシーショック」の前兆として重要です。「アナフィラキシーショック」の症状の第1位が皮膚症状で第2位が呼吸器症状です。

 

⑦離乳食を始めるのが生後6ヶ月未満で食物アレルギーのIgE抗体ができている児は皮膚の湿疹(アトピー性皮膚炎)が良くない状況のことが多いです。

 

⑧食物のIgE抗体が陽性でも必ずしも食物アレルギーが出るわけではありません。

 

⑨小麦アレルギーのIgE抗体が陽性の児は食物経口負荷試験をして症状がでる児とでない児がありますが、ω-グリアジンIgE抗体が陽性なら小麦アレルギーと診断して良いことになります。

 

⑩ピーナッツアレルギーのIgE抗体が陽性の児で食物経口負荷試験をして症状のでる児とでない児がありますが、Arah2IgE抗体が陽性ならピーナッツアレルギーと診断して良いことになります。

 

⑪食物経口負荷試験は病院でするもので、クリニックでできるものではありません。

 

⑫子供の食物アレルギーは3才までに1/2は治っていきます。

 

⑬牛乳アレルギーのお子さんが「歯科治療リカルデント」でアナフィラキシーを起こしています。

 

⑭0才児の時に食物アレルギーのお子さんを専門の病院の先生に紹介することが必要です。

 

⑮経口免疫治療(OIT)
A)食物アレルギーのお子さんに、食物アレルギーの原因食物を少量継続でいえると意外にうまく治療ができます。(無理して増量しなくても良いでしょう)
B)微量負荷試験
食物アレルギーの原因食物の微量を少しずつ食べてとっていた方が食べられる量が増えたり、微量継続ができて、完全除去にならなくてすみます。
C)食べ始めは、一過性にIgE抗体が上昇しますが、その後は下がってきます。

 

⑯食物アレルギーの感作は乳児期におこります。

 

⑰口の周りだけ赤くなるのは、判定保留として、他の症状が出なければ食物の摂取をとりつづけてもらうと、口の周りが赤くならなくなっていくようになりますので、負荷試験は必要ありません。

 

⑱プリックテスト
生後6ヶ月以内の乳児は血液のIgE抗体検査とプリックテストを併用するのが良いでしょう。

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↑↑スギ花粉症の「舌下免疫療法」

 

舌下免疫療法の薬代のおおよその目安と対象年齢

(スギ花粉症舌下免疫療法)

シダトレン 増量期(14日分)     ¥700

      維持期(14日分)     ¥820

      維持期(28日分)     ¥1290

 

シダキュア 増量期(14日分)     ¥830

      維持期(14日分)     ¥1160

      維持期(28日分)     ¥1800

 

(ダニ舌下免疫療法)

アテシア      14日分     ¥1200

          28日分     ¥2050

ミキティア     14日分     ¥1200

 

*平日3割負担の方の例です。(別途診察代がかかります)

 

スギ花粉症の舌下免疫療法は現在の対象年齢は5歳以上からとなります。

 

ダニアレルギー性鼻炎の舌下免疫療法が1年中いつでも開始出来るようになりました。

 対象年齢は、5歳以上からとなります!!

   お悩みの方はあらかじめ採血の結果をご用意いただきご相談下さい。

  

 

『アレルギー性結膜疾患の予防と治療』

『アレルギー性結膜疾患の予防と治療』

      両国眼科クリニック 深川和己先生講演会

アレルギー性結膜疾患の有病率は48%です。

花粉症のセルフケア

A:抗原回避の方法

1)メガネ

花粉をカットする花粉防止めがね

花粉カット:ジーンズというメーカーのものは92%の花粉飛入抑制効果がありました。

普通のメガネはひさしのある帽子を被れば80%くらいの花粉飛入抑制効果がありました。

眼にもマスクが大切です。

眼の中に花粉(抗原)を入れないことが大切です。

これは、スギ花粉眼瞼炎にも有効です。花粉防止めがねで、眼にもマスクをつけましょう。

 

2)洗眼

カップ式の洗眼液には防腐剤が入っているので結膜を刺激してしまうことがあり、洗眼には向いていません。

カップ式の洗眼液で洗眼すると目の周りに付いた花粉が眼の中に入ってしまうため向いていません。

水道水で洗眼している人も多くいますがこれは粘膜を刺激するので向いていません。

眼の中だけ洗眼するのが良いでしょう。

ウェルウォッシュアイという人工涙液で4~5滴で洗眼するとスギの花粉は殆ど落ちます。

スギ花粉からの抗原溶出もウェルウォッシュアイが抑えます。

眼の炎症は冷やすと良いのでウェルウォッシュアイを冷蔵庫に入れておくとよいでしょう。

 

3)点眼薬

生活の支障度が高いのは眼のかゆみです。

アレジオン点眼薬は早く長く眼のかゆみに効きます。

点眼薬の60%に使用されている防腐剤(BAK)は角膜上皮が障害を受けることがあり、ソフトコンタクトレンズを付けた方はBAKの点眼薬をするとソフトコンタクトレンズにBAKが付着してソフトコンタクトレンズが壊れてしまうことがあります。

BAK含有の点眼薬は結膜の障害を起こします。

BAKフリーのアレジオン点眼薬は細胞障害性が低いのです。

BAKフリーのアレジオン点眼薬はコンタクトレンズの上から使用しても問題はありません。

 

4)コンタクトレンズを使用しているアレルギー性結膜炎の患者さん

①外を歩くときは花粉防止メガネ

②コンタクトレンズの上からさせる目薬(BAKフリー:アレジオン点眼薬) 

③痛みのある時はコンタクトをお休みしましょう。

 

5)初制療法

花粉飛散予測日の約2週間前、もしくは症状が少しでもあらわれたら、抗アレルギーの点眼薬を開始する治療法です。

スギやヒノキの花粉に対して有効です。

初期療法の利点は、

①アレルギー性結膜疾患の発症を遅らせることが出来ます。

②アレルギー性結膜疾患の症状を軽減することが出来ます。

③ステロイドの点眼薬の使用を減少することが出来ます。

(3~9才はSteroid Responderの発生頻度が高い!

ステロイド点眼薬による眼圧上昇に注意が必要です。)

④アレジオン点眼薬はパタノール点眼薬に比べて初期療法の効果が高いです。

アレジオン点眼薬は「かゆみスイッチを減らす」お薬なので、眼がかゆくない時にも点眼しておくと良いでしょう。

 

 

「ダニ舌下免疫療法は小児アレルギー史を変えるか?」 ~年齢制限解除をうけて~

「ダニ舌下免疫療法は小児アレルギー史を変えるか?」

              ~年齢制限解除をうけて~

 ユーカリが丘アレルギーこどもクリニック

           松山 剛先生講演会より

 

①2才、5才のアレルギー性鼻炎は気管支喘息の発症リスクが高くなります。

          

②乳幼児は寝具や床に顔を付けたり近づけたりするので濃厚なダニ抗原を吸収する可能性があります。

 

③ベット、布団、電気毛布にはダニが多くみられます。

 

④枕、シーツ、布団カバーは最低でも週に一回洗濯するとダニ対策に良いでしょう。

 

⑤ダニアレルゲンを環境から除去した方がお子さんの気管支喘息の発症は少なくなります。

 

⑥チリダニは台所の小麦粉系のものに入りたがる傾向がありまして、お好み焼きを食べた後に蕁麻疹や気管支喘息発作を起こすのは食物アレルギーではなくダニアレルギーのパンケーキ症候群の可能性があります。使いかけのこのような粉は冷所保存するとチリダニの混入を防ぐことが出来ます。

 

⑦舌下免疫療法によりお子さんの気管支喘息の発症を抑制することが出来るよになりました。

 

⑧18~65才のダニ単独アレルギー性鼻炎の方に舌下免疫療法をしますとアレルゲンの新規感作率を抑制しました。舌下免疫療法を3年間実施すると7年間、4年~5年実施すると8年間その有効性が続きました。

 

⑨小児の舌下免疫療法の効果と安全性は成人と同様です。

 

⑩ダニアレルギー性鼻炎の治療薬である「ミティキュア」の副作用で最も多いのが咽頭痛です。他には、胃のむかむか感がありますが、この場合は「ミティキュア」を食後に内服した時に出やすい傾向にあります。「ミティキュア」の副作用は、1~2ヶ月訴えるお子さんもいれば全く訴えないお子さんもいます。

 

⑪舌下免疫療法の副作用を軽減させる方策

12歳未満ではやや副作用が多くかつ強い感じがあります。

対応としては~

A:あらかじめ唾液をためておいてから舌下をします。これは,下のピリピリ感やのどの痛みを軽減するためです。

 

B:初期内服量の3300単位を1週間以上継続して長めに内服します。副作用が減弱する1~2ヶ月程度の期間です。

 

C:舌下してから1分間保持せずに30秒間に短縮しておこないます。これでしばらく慣れてから1分間に戻します。

 

D:舌下後の唾液を飲み込まず吐き出してしまいます。これは、のどの痛みを訴えるお子さんの症状の軽減になります。

 

E:あらかじめ、抗アレルギー薬の内服しながら舌下を行うと副作用の訴えの減るお子さんがいます。

 

 

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